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6月30日──橋本徹の2023年上半期ベスト・アルバム50枚

Toru II Toru通信(2023年6月29日)
橋本徹(SUBURBIA)が選ぶ2023年上半期ベスト・アルバム50枚
Selection & Text by Toru Hashimoto (SUBURBIA)

(1)Speakers Corner Quartet『Further Out Than The Edge』
(2)Scott Orr『Horizon』
(3)Julia Sarr『Njaboot』
(4)Gia Margaret『Romantic Piano』
(5)Lionmilk『Intergalactic Warp Terminal 222』
(6)ANOHNI And The Johnsons『My Back Was A Bridge For You To Cross』
(7)Jonah Yano『Portrait Of A Dog』
(8)Sandrayati『Safe Ground』
(9)Eddie Chacon『Sundown』
(10)Pearl & The Oysters『Coast 2 Coast』
(11)Kelly Moonstone『I Digress...』
(12)Afternoon Bike Ride『Glossover』
(13)B. Cool-Aid『Leather Blvd.』
(14)Kelela『Raven』
(15)Nara Pinheiro『Tempo De Vendaval』
(16)Kingo Halla『Empty Hands』
(17)Fabiano do Nascimento『Lendas』
(18)Gretchen Parlato & Lionel Loueke『Lean In』
(19)Cisco Swank『More Better』
(20)Rachael & Vilray『I Love A Love Song!』
(21)Dina Ögon『Oas』
(22)Avalon Emerson『& The Charm』
(23)Msaki × Tubatsi『Synthetic Hearts』
(24)Liv.e『Girl In The Half Pearl』
(25)Shafiq Husayn『So Gold』
(26)King Krule『Space Heavy』
(27)Billy Valentine & The Universal Truth『Billy Valentine & The Universal Truth』
(28)MARO『hortelã』
(29)Steve Gunn & David Moore『Reflections Vol.1: Let The Moon Be A Planet』
(30)Kara Jackson『Why Does The Earth Give Us People To Love?』
(31)Brandee Younger『Brand New Life』
(32)Matthewdavid『Mycelium Music』
(33)Navy Blue『Ways Of Knowing』
(34)Hollie Kenniff『We All Have Places That We Miss』
(35)Alaskan Tapes『Who Tends A Garden』
(36)Omar Sosa & Tiganá Santana『Iroko』
(37)Bokani Dyer『Radio Sechaba』
(38)Siv Jakobsen『Gardening』
(39)Adriano Galante『Toda Una Alegría』 
(40)Eloise『Drunk On A Flight』
(41)Magalí Datzira『Des de la cuina』
(42)Emilio Teubal『Futuro』
(43)Seany Clarke『First Aid Kit』
(44)Oilly Wallace『Flowers Of Your Youth』
(45)Gabi Hartmann『Gabi Hartmann』
(46)Vanessa Moreno『SOLAR』
(47)Emma Frank『Interiors』
(48)Nico Paulo『Nico Paulo』
(49)Judit Neddermann『LAR』
(50)Yazmin Lacey『Voice Notes』

 

2023年の上半期ベスト・アルバム50枚、日常の中で好きでよく聴いていたものや、いいなと思う瞬間の多かったものを、思いつくままにリストアップした。
ここ数年ではいちばん、新譜を繰り返し聴く時間がとれない半年だったが、それでも候補作は100枚以上に及んだ。
上位はほぼ横一線だが、No.1に選んだのはSpeakers Corner Quartet。ヒップホップ的な感覚のグルーヴを礎に、ジャズやソウル、エレクトロニクスやストリングス、スポークン・ワードやポスト・パンク的な質感が混ざり合い、Dean Blunt周辺やトリップホップ〜ブリストル勢とも親和性が高い。Sampha(最新シングル「Spirit 2​.​0」も最高だった)やTirzahとの蜜月を始め、ゲスト人脈を見ればわかるように、ロンドンの今を伝えるハブ的存在であり、シーンの粋を極めたような名コレクティヴだ。2020年からたびたびマイ・ベストに選んできたSaultとの接続性という観点からも、文句なしだろう。
Scott OrrとANOHNIは聴き始めてまもないが、一聴してとても気に入った信頼するアーティストの新作、ということで迷うことなくエントリー。セネガル出身フランス経由の素晴らしい歌声の持ち主、Julia SarrはCDで聴いていたが、アナログ化熱望。ジャケットの紙質やアートワークから美しい盤面まで、すべてが素敵なGia Margaret『Romantic Piano』の限定Seaglass Wave Translucent Vinylは、彼女のヴォーカルに胸を打たれるサブスクリプションでは聴けないシークレット曲「A Hidden Track」にも感激。サブスクで愛聴していたLionmilkも、2LPが出たときは嬉しかった(同時期には昨年末に年間ベスト2位にすべりこんだLittle Simz『No Thank You』も)。やはりレコードも手に入れたJonah YanoやSandrayatiは、すっかり我が家の定番に。そしてEddie ChaconとPearl & The OystersはDJでもヘヴィー・プレイした。リストを見渡すと、特に上位15枚は、本当によく聴いたと思う。
ちなみにミシェル・ンデゲオチェロやサム・ゲンデル、あるいはベニー・シングスやブラッド・メルドーといった、過去に数多くの作品を残しているアーティストは、自分にとっては必ずしもニュー・アルバムが最高傑作という感じではなかったこともあり、選外とした。そんな大御所の中で、惜しくも選にもれたがThe National『First Two Pages Of Frankenstein』は、これまでで最も愛聴盤となったことも特筆しておきたい。SSWの次点はMaxine Funke、ジャズの次点はKassa Overall、ヒップホップの次点はMaxoだった。
2023年上半期ベスト・トラック400曲のリストも(こちらの方が普段のリスニング・スタイル的にはアルバム以上に重要かもしれない)、7月中にはカフェ・アプレミディのホームページで公開されると思うので、楽しみにしてほしい。
僕のコンパイラー生活30周年を記念してリリースされた3枚のコンピ、『Blessing ~ Free Soul × Cafe Apres-midi × Mellow Beats × Jazz Supreme』『Gratitude ~ Free Soul Treasure』『Merci ~ Cafe Apres-midi Revue』も、それに伴って受けた各インタヴューやライナーと共に、じっくりと末永く楽しんでいただけたら、とても嬉しく思う。

 

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