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12月27日──橋本徹のGood Mellows×Hamon Radioスペシャル・インタヴュー

2017年もありがとうございました。例年になくコンピを少ししか作ることができなかったのは残念でしたが、毎月楽しくやらせてもらっているdublab.jpでのsuburbia radio(アーカイヴ放送もぜひ)が始まったり、「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」や各種空間BGMのクライアント・ワークス、毎週のDJパーティーや去年からSONY(PlayStation Music)の依頼で始まったSpotifyプレイリストなど、選曲の仕事にはいつも携わっていられましたし、何よりも一緒に楽しみ支えてくれる音楽仲間に恵まれて、それなりに幸せな日々を送っていたような気がします。Suburbia RecordsやApres-midi Recordsのリリース作品、UNIVERSALでの7インチ・リイシュー企画レオン・ウェア追悼コンピへの温かいご支援にも、心から感謝しています。

 

最後に、12/17に由比ヶ浜のOcean Harvest Cocomoで行われた『Good Mellows For Afterglow Meditation』リリース記念パーティーの模様をインターネット・ラジオHamon RadioのYouTubeライヴ・ストリーミング映像でお楽しみください(よろしければコンピCDのYouTube試聴用トレイラーも)。年明けにHamon Radioウェブサイトで公開される僕のインタヴューもひと足早く掲載させていただけることになりましたので、併せて読んでもらえたら嬉しいです。それでは、来年も素晴らしい音楽とたくさん出会い、皆さんと楽しく分かち合えますように。

 


Hamon Radio 橋本徹(SUBURBIA)スペシャル・インタヴュー


90年代初期に伝説のレコード・ガイド「Suburbia Suite」を送り出し、その後も「Free Soul」や「Cafe Apres-midi」、「Mellow Beats」や「音楽のある風景」といった、数々の人気コンピレイション・シリーズを選曲、その幅広く深い音楽への見識と愛情が音楽ファンの間で絶大な信頼を得ている橋本徹。Hamon Radioへのシンパシーや、2017年からスタートした「Good Mellows」シリーズのこれまでや、その最新作について語ってもらった。

 

──今回、Hamon Radioというインターネット・ラジオがスタートするんですが、それについて橋本さんの感じるところや、「Good Mellows」の始まりなどについて簡単に話していただけますか。

 

橋本/Hamon Radioのコンセプトというか、考えていることやめざしていることと「Good Mellows」は共振する部分があって、すごくシンパシーを感じるんです。波紋(Hamon)っていうのは、波そのもの、つまり海辺での気持ちよさみたいなところもあるし、水面に石が落ちて円が広がっていくように、共感できることや音楽を通してつながりが広がっていくという意味でも、僕が「Good Mellows」を通してやろうとしていることにすごくフィットするメディアだな、と思っています。「Good Mellows」のコンピCDやDJパーティーを始めるきっかけは、2014年の夏に由比ヶ浜の同名のハンバーガー・ショップでパーティーを開いたんですが、それまではクラブだったり都会のカフェだったりでDJや選曲をする機会が多かったんだけど、そのときの海辺ならではの心地よさ、音楽とミックスされてとても幸福な時間が流れていたっていうのが自分にとっては大きくて。ちょうどその頃、レーベルを始めませんかっていうお誘いを受けていて、翌年の春から始めることになって。

 

──「Suburbia Records」ですね。

 

橋本/そう。そのレーベルの看板シリーズというか、メイン・コンテンツとして「Good Mellows」は始まって、CDが今回通算10作目になるんだけど、コンピレイションを出したり、湘南だけでなくいろいろなところで「Good Mellows」のパーティーを開いたりしていくことによって、共感する音楽好きの方に波紋が広がるように伝わっていった、というのがこの2年半の流れですね。

 

──「Good Mellows」のDJパーティーに行くと、オープンエア的な開放感だったり、風通しのよさを感じる瞬間があって。

 

橋本/そうそう。今年の8月の最後のウィークエンドに、DJをしながらBBQパーティーを由比ヶ浜のGood Mellowsのルーフトップでやったんだけど、そのときのすごくピースフルないい雰囲気が今でも心に残っているな。気の置けない仲間との本当の意味でのチルアウトというか、あれこそが「Good Mellows, Good Fellows」という感じで。そういう気持ちよさがHamon Radioのフィロソフィーにも反映されてるように思うけど、寄せては返す波にも通じる、心地よいメロウな揺らぎっていうのが、今「Good Mellows」を通して僕が求めてる感覚なのかな、って気がします。

 

──なるほど。僕の中では「Hamon」っていう言葉と「Mellows」という言葉は、どちらもある種のヴァイブレイションというかフィーリングという感じで捉えていて、それを両者が共有しあっている部分を感じますし、サウンド的な気持ちよさ、揺らいでいるダビーな感じや音響だったりというのと、それがみんなに広がっていく感じ、バタフライ・エフェクトという言葉もありますけど、小さなさざなみが次第に大きく広がっていくというか。

 

橋本/本当にそうだね。音の揺らぎの気持ちよさと、ゆらゆらとしながら気持ちのいいものや気持ちのいい人たちとつながっていくっていう両方の意味で、共感できる同じヴァイブレイションがあるなと思います。カフェ・アプレミディももちろんそうなんだけど、由比ヶ浜のGood Mellowsや今回(12/17)パーティーをやるOcean Harvest Cocomoっていう場所だったりも、共通する感覚があるんだよね。

 

──だから、「Good Mellows」を契機に「Sunset Lounge」や「夕陽と海の音楽会」といったイヴェントがつながっていったような印象を受けます。

 

橋本/「Sunset Lounge」だったり「Sunset The MARINA」だったりは、僕はゲストとして呼んでもらってるんだけど、そういう素敵なパーティーをオーガナイズしてる人ともどんどんつながって心地よい時間を過ごさせてもらってるっていうのが、ここ数年のありがたい流れなんだよね。江の島・シーキャンドルサンセットテラスでの「夕陽と海の音楽会」のレジデントDJを務めさせてもらってることも、ここ数年の僕の最も大切にしている歓びだし。そういう中での最近の大きな変化っていうのは、当初はオンシーズンの夏に東京からパーティーをやりに行って、すごく楽しかったというところからスタートしてるんだけど、続けていく中で、それだけじゃないことを継続的に「Good Mellows」はやっていきたいな、って思うようになって。

 

──確かに、放っておくとどうしても「夏だ! 海だ! サンセットだ!」みたいになりがちですよね(笑)。

 

橋本/それよりもっと大切なことがあるなと。コンピレイションが出てから2年半経ったけど、夏やシーサイドやサンセットという魅力と消費的に関わるのではなくて、例えば地元の方との信頼関係だったり、人生の中でずっと続いていくような関係性や心地よさ、あるいはオフシーズンならではの心地よさやメロウネスを分かち合えないかな、っていうのをコンピレイションにもパーティーにも反映させようとしている、っていうのが今の気持ちで。だから今回も年末の忙しい時期で、夏ほどはたくさんの方が湘南まで集まってくれるのは難しいかもしれないけど、冬ならではのささやかな幸せを分かち合いたいと。

 

──とてもいい話ですね。湘南の方に行く回数が多くなると、夏だけじゃないタイミングで訪れることが必然的に増えると思うんです。海とか本当にそうだと思うんですけど、四季折々、あるいは天候や時間帯によっても表情を変えていくっていうのがあって、さっき橋本さんがおっしゃったような夏の良さだけではなく、秋には秋の、冬には冬の良さがあるっていう、それを表現するようなところに来てるのかな、という気がします。

 

橋本/やっぱり、とてもいい時間を過ごさせてもらっている場所への感謝みたいなものが募っていく中で、海辺の陽の当たりづらい季節の良さっていうのも発見して共有していきたいなと思って。夕陽だって四季折々に美しさがあるし、僕らはそれに相応しい音楽を選ぶのが楽しいわけだしね。

 

──「Good Mellows」コンピは、最初は「Seaside Weekend」や「Sunset Feeling」といった、ある種王道的なところから始まってきてるんですけど、その後は陽光の季節とか月夜とか、作品ごとに新しい側面を出していますよね。

 

橋本/季節でも時間帯でも本当にいろんな表情があるので、そういう部分に毎回テーマを決めてフォーカスしてみようっていう。

 

──今回の『Good Mellows For Afterglow Meditation』は、冬っぽい感じのジャケットですよね。

 

橋本/そうだね。そのへんはデザイナーのFJDにコンセプトを伝えて、アートワークの雰囲気ってのもすり合わせながら作っています。

 

──とてもいいデザインだと思います。あと「Afterglow」っていう単語を調べてみたりすると、陽が沈んだ後の時間帯というか。

 

橋本/まあ、後光とか残照、残光だったり、余韻だったり。逆光感に通じるような雰囲気。

 

──うんうん。辞書だと「余韻」とか出てきますよね。

 

橋本/そうだね。余韻というのが一番伝えたいイメージかな。音楽から伝わる情感の余韻みたいなものを味わえるコンピレイションになったらいいな、っていうのがありました。

 

──僕自身はアートワークとかタイトルもあって、音源を聴いていて冬の海を見ているときのような気持ちになる瞬間が多かったですね。冬の空気の澄んだ感じとかですね。

 

橋本/冬は空が澄んでいるから、星や月がきれいに見えたりするよね。

 

──冬の海特有の色合いとかもありますよね。

 

橋本/僕自身は海の印象と共に、夜空みたいなものを途中からはイメージしていたんだよね。星空を眺めていると穏やかな気持ちになる、メディテイション的な感覚と言えばいいのかな。それと最初、コンピレイションのタイトルに使おうかと思ったのは「Floatin’」という言葉だったんだ。

 

──なるほど。さっきの揺らぎの話じゃないですけど、浮遊感は今回の大きな特徴だと思います。

 

橋本/最終的には「Afterglow」にしたんだけど、「Floatin’」というのが選曲の上でのキーワードだったんだよね。

 

──今回、エスニックな要素というのがけっこう入ってるな、というのも印象的でした。エスニックと言ってもそれはあくまでシタールの音色や親指ピアノだったりで、最終的にはメディテイティヴというか、音に身を任せる感じの世界に入っていくんですけど。

 

橋本/そういう要素は意識的に増やしました。それはスピリチュアル〜メディテイティヴな音の桃源郷ってことだよね。「Good Mellows」を始めたきっかけっていうのは、現在進行形でたくさん買っている12インチを選曲に反映させていけるようなコンピ・シリーズがあったらいいなと個人的に思っていたことなんですが、最近のシーンの流れとしてMusic From Memoryというレーベルとかがわかりやすいけど、オブスキュアだったりレフトフィールドだったりエスニックなフレイヴァーだったりというものが、よく感じられる傾向が強まっていると思うんだよね。いわゆる爽やかだったり、綺麗で気持ちいいっていうタイプの曲ではなくて、ちょっと変なものや気持ち悪い気持ちよさみたいなもの、あるいは抽象的なものっていうのが世代的にも時代的にもフィットするようになってるんだな、と思う経験が最近多くて。

 

──去年、「usen for Cafe Apres-midi」の15周年のインタヴューをさせていただいたとき、ファラオ・サンダースのフリーキーなソロが入っている曲は15年前だったらカフェ・ミュージックとしては選ばなかったけど、今はそのくらいの方がちょうどいいといった話もされてましたよね。

 

橋本/そうだね。どんなものが心地よいと感じるかっていう基準が明らかに変わってきていると思っていて、そこを捉えたい気持ちはあります。「Good Mellows」は常に現在進行形の感覚を扱っているシリーズだと考えているので。

 

──その意味では、今回はTranceの「Ambiente」やMsafiri Zawoseの「Malugaro」がキーになっている曲だと思います。どちらも浮遊感やメディテイション感がすごくあって、心が穏やかになりますよね。

 

橋本/そうそう、「Ambiente」のシタールや「Malugaro」の親指ピアノ、チャントが入ってる感じが非常に重要なんだよね。以前だったら地味に感じられたかもしれないダビー・アンビエントなMelbaの「Phantasea」とか。「心の調律師のような音楽」というのは、2010年に僕が『美しき音楽のある風景〜素晴らしきメランコリーのアルゼンチン』っていうコンピレイションを出したときにキャッチフレーズにしたんだけど、その基準が変わってきているなと。BBNGの『LateNightTales』やDJ Kozeとかムーディーマンの『DJ Kicks』があれだけ支持されたりというのは、みんながさっき言ったような感覚になってきている証左だなと思うんだよね。

 

──7曲目のUnderground Systemの「Bella Ciao」も、アフロ・ビートですけど普通にルーム・リスニングで聴いてても気持ちいいタイプの曲だし、むしろそういう場面にフィットすると思いました。

 

橋本/12インチで出たときは、陽光系のジャケということもあってすごくオープンエアというか開放感のある曲だと思って、ちょっと今回は浮くかなとも思ったんだけど、さすがGigi Masinが絡んでることもあって見事にハマったなと。

 

──そういう現在進行形の感覚を大切にするというのが、よく反映されていますね。

 

橋本/例えばUyama Hirotoくんの曲は、アナログを聴いているときのようなノイズを入れているんだけど、それが肌に合うというか、ああいう感覚がすごくわかるんだよね。綺麗なままにしないで、わざとざらつかせるっていうか。

 

──どこかしら引っかかりみたいなものがあったほうが気持ちいい、という風になってきていると。そこで「10作目を迎え、現在までを振り返ってどうでしたか?」というのもお訊きしたいんですけど。

 

橋本/僕がこのシリーズで最初にやりたかったことっていうのが「Seaside Weekend」「Sunset Feeling」でできて、それがすごく支持されて、3作目の「Moonlight Rendezvous」以降は、ヴァリエイションを広げながら「Good Mellows」が魅力的な連続体として見えていくように、コンピの選曲とDJパーティー、そこのゲストという部分でいろいろ考えてきました。海外なら最初はAndras Foxに始まり、Cantoma〜Gigi Masin〜Paul Murphy〜Chris Cocoといった人と関わったりして。日本だとCalm〜chari chari(井上薫)〜Chee〜DJ YOGURTだったり。そういう、チルアウトという分野でそれぞれの表現をしている人たちを呼んで。

 

──僕もパーティーに遊びに行かせていただくことがありましたが、世界中に同じ感覚を持っている人がいるんだなあと感じましたね。

 

橋本/東京らしさをどこかで意識してきた今までの僕のコンピレイションに比べると、「Good Mellows」はインターナショナルなフィーリングが強いのかもしれないね。自分の感覚にただ忠実にやってるだけなんだけど、ヨーロッパからウエストコーストまでインターナショナルに支持されているという部分も強くて。インターネットが普及して、いろいろと可視化されやすい時代になったせいもあると思うけど。

 

──橋本さんのコンピレイション・シリーズは核がしっかりあるから、どれを買っても最終的には「ああ、この感じだよね」というところに落ち着くんですよね。

 

橋本/80分ちょっとの時間で、メロウ・チルアウトな音楽旅行をするっていうのが「Good Mellows」の根本のコンセプトだからね。そこは変わらない。

 

──Hamon Radioも、そういう意味では核の部分がしっかりとしていてぶれない、アクセスしたくなるインターネット・ラジオになっていきそうですね。

 

橋本/名前とかロゴにポリシーがよく表れているよね。「Good Mellows」以上にカジュアルというか、いい意味でユルい感じで、さりげなくそういうアティテュードを提示している気がするな。

 

──インターネット・ラジオのメディア特性も活きそうですね。海外の人も容易にアクセスできるっていう利便性は、音楽チャンネルにとってはメリットだと思います。

 

橋本/「Good Mellows」は今まで僕がやってきたことに比べると、言葉の壁とか東京ならではの文脈を越えやすいところもあるからね。メロウ・チルアウトというキーワードは、今や世界共通だから、こういうメディアを通して文脈の壁も越えられるんじゃないかと思っているよ。「Good Mellows」は「こんなのあったらいいな」くらいの感じでふんわりと始まったから(笑)、アナログ・オンリーでもこんなにいい曲があるし、普段DJパーティーや海辺のパーティーに来られないリスナーともそのドキュメント的なものを共有したいなということだよね。心地よさのおすそ分けという感じで。

 

──橋本さん自身が好きなものをCDに、というのは昔からずっと変わらないところだと思うんですが、「Good Mellows」はすごく自然体というか健康な感じですよね。やっぱり環境とか周りにいる人とかのヴァイブスが大きいのかなと感じています。

 

橋本/そうそう、ライナーにも書いたけど、今回はマスタリングも終わったところで急にTrackheadzの「What's For Dinner?」を外さなければいけなくなったんだけど、その代わりに入ったのが、由比ヶ浜の夕暮れをイメージして作ったというUyama Hirotoくんの「Magicnumber」なんだよね。実際、7月にCocomoでUyamaくんとMarterがライヴで一緒に演ったゆかりの曲なんだけど、その曲を新録のサックスをメインにしたヴァージョンで結果的にエクスクルーシヴ収録できて。トラブルさえも人と人のつながりでいい方にひっくり返せるんだ、と感じたできごとだったよ。本当にUyamaくんには感謝しかないね。

 

──ものごとがうまくいくときって、そういうものですよね。ファンの人には本当に嬉しいプレゼントだと思います。

 

橋本/そこに物語が生まれるからね。由比ヶ浜はNujabesの家で僕とUyamaくんが出会った場所でもあるし、7月のパーティーに来てくれた人が、何ヶ月かしてこのコンピレイションを聴いてくれたら、特別な感動があるんじゃないかな。カフェ・アプレミディの18周年パーティーでも披露してくれたしね。

 

──音楽は、それ自身とその周辺にまつわる物語や記憶を呼び覚ましてくれたり、周囲の人とそれを共有したりすることができるのが、かけがえのないことですよね。では、最後に今後の展望をお願いします。

 

橋本/そうですね。繰り返しになってしまうんだけど、自然体で続けていって、日本国内も海外も、同じような音楽が好きで、同じような感覚を心地よいと思う人たちとつながって、幸福な音楽体験を分かち合える時間が増えたらいいなと思います。Hamon Radioを通してもね。

 

──はい、今日はどうもありがとうございました。

 

橋本/こちらこそありがとうございました。

 

2017年12月9日 カフェ・アプレミディ(渋谷)にて
構成・文/waltzanova

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12月17日──橋本徹の2017年ベスト・アルバム50枚とそれ以外の作品からのフェイヴァリット300曲

Toru II Toru通信(2017年12月16日)
橋本徹(SUBURBIA)が選ぶ2017年ベスト・アルバム50枚
Selection & Text by Toru Hashimoto (SUBURBIA)

(1)Moses Sumney『Aromanticism』
(2)Rapsody『Laila’s Wisdom』
(3)Luedji Luna『Um Corpo No Mundo』
(4)Kamasi Washington『Harmony Of Difference』
(5)Kiefer『Kickinit Alone』
(6)Bjork『Utopia』
(7)Thundercat『Drunk』
(8)Dirty Projectors『Dirty Projectors』
(9)Luiza Brina & O Liquidificador『Tao Ta』
(10)Mounika.『How Are You?』
(11)Reginald Omas Mamode IV『Children Of Nu』
(12)King Garbage『Make It Sweat』
(13)Smino『blkswn』
(14)Joey Bada$$『ALL-AMERIKKKAN BADA$$』
(15)Salami Rose Joe Louis『Zlaty Sauce Nephew』
(16)Kendrick Lamar『Damn.』    
(17)Ryan Driver『Careless Thoughts』
(18)Daniel Caesar『Freudian』
(19)FKJ『French Kiwi Juice』
(20)Moonchild『Voyager』
(21)Ivan Ave『Every Eye』
(22)Jonti『Tokorats』
(23)Calvin Harris『Funk Wav Bounces Vol.1』

(24)King Gizzard & The Lizard Wizard with Mild High Club『Sketches Of Brunswick East』
(25)Sampa The Great『Birds And The BEE9』
(26)Drake『More Life』
(27)Buttering Trio『Threesome』
(28)Nate Smith『Kinfolk: Postcards From Everywhere』
(29)Gustavo Spinola『Mares, Rios』
(30)Kurt Rosenwinkel『Caipi』
(31)Ryan Porter『Spangle-Lang Lane』
(32)Nai Palm『Needle Paw』
(33)Ian Lasserre『Sonoridade Polvora』
(34)Pierre Kwenders『MAKANDA At The End Of Space, The Beginning Of Time』
(35)Tyler,The Creator『Scum Fuck Flower Boy』
(36)Pablo Fauaz『Arreando Lunas』
(37)Patricio Pietrek Grupo『Pajaro Azul』
(38)SZA『Ctrl』
(39)Puma Blue『Swum Baby』
(40)Jitwam『Selftitled』
(41)Richard Spaven『The Self』
(42)Terrace Martin Presents: Pollyseeds『Sounds Of Crenshaw, Vol.1』
(43)Sampha『Process』
(44)Jordan Rakei『Wallflower』
(45)Joe Armon-Jones, Maxwell Owin『Idiom』
(46)Kelela『Take Me Apart』
(47)Kommode『Analog Dance Music』
(48)Vulfpeck『Mr. Finish Line』
(49)Noya Rao『Icaros』
(50)Laura Misch『Playground』

 

2017年のベスト・アルバム50枚、この一年の「usen for Cafe Apres-midi」の選曲リストを見直しながら、愛聴したカマシ・ワシントンなども入れたかったので、ミニ・アルバムも含め選出した。まだ半月しか聴いていないビョークをNo.1にとも思ったが、やはり最もよく聴いたモーゼス・サムニーをトップに置いた。“ジェイムス・ブレイク以降”を象徴するような形で世に出た彼が、“ポスト・フランク・オーシャン『Blonde』”の記念碑と言えるようなファースト・アルバムを発表したことは、2010年代の印象をこれからも決定づけていくだろう。


昨年のベスト・アルバム選に負けず劣らず今年も豊作で、まず候補に挙げた作品を数えたら、150枚以上におよんだ。そこから選び抜かれた他の49枚もすべて素晴らしいので、ぜひとも聴いてほしいが、惜しくも選にもれ次点となったアーティストを讃える意味もこめ(ちなみに51番目はJay-Z、続いてシド〜Benedek〜ナターシャ・アグラマ〜Tim Bernardes、そしてカルメラ・ラミレス&ガブリエル・チャカルヒ〜ドミニク・ミラー〜Lisa Knapp〜Daudi Matsiko〜ヴァネッサ・モレーノ〜ジェブ・ロイ・ニコルズ〜ウェイン・スノウといった上半期ベスト40枚に選んだ面々が並んでいる)、上記アルバム収録曲以外で「usen for Cafe Apres-midi」で複数回セレクトしたフェイヴァリット作を300曲リストアップしておく。アナログ12インチ中心のリストは冬休みに改めて用意するが、特に年間400枚近くのCDの封を切ったラテン・アメリカ勢の充実が伝わると思う。

 

 

A Engrenagem / Ar De Outro Lugar
Abstract Orchestra / So Far To Go
Affonsinho / Saber Gostar
Al Sunny / Time To Decide
Ala.Ni / Not Coming Home
Alex Cuba / En Mi Guitarra
Alexandre Grooves / Sou Louco Por Ela
Alexandre Vianna Trio / O Equilibrista
Alfa Mist / Keep On
Amber Coffman / Kindness
Amber Mark / Regret    
Amber Navran / Letter 7/Say Yes
Amp Fiddler feat. Moodymann / I Get Moody Sometimes
Anat Cohen & Trio Brasileiro / Pra Voce, Uma Flor
Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre / Los Tres Deseos De Siempre
Anti-Lilly & Phoniks / Nobody's Perfect
Aquilo / Never Seen You Get So Low
Arca / Piel
Art Feynman / Eternity In Pictures
Arthur Verocai / A Outra
Arto Lindsay / Pele De Perto
August Rosenbaum feat. Philip Owusu / Calling Out
Avishai Cohen / For No One
B. Cool-Aid / Teach
Banda Magda / Chanson Lev
Bastien Keb / Pick Up
Baths / Human Bog
Beat Spacek / Ring Di Alarm
Becca Stevens feat. Jacob Collier / As
Ben Stevenson / No Better Way
Benedek / Afterglo
Benjamim Taubkin & Itamar Doari & Joao Taubkin / Cravo E Canela
Benjamin Clementine / Jupiter
Bibio / Phantom Brickworks III
BIGYUKI feat. Bilal / Soft Places
Bill Mackay & Ryley Walker / The Grand Old Trout
Blossom & Hot16 / So Cool
Blue Hawaii / Searching For You
Blue Note All-Stars / Message Of Hope
Bobby Earth / Can You Feel It Too
Bongeziwe Mabandla / Khaya
Bonobo feat. Rhye / Break Apart
Brandee Younger / So Alive
Braxton Cook / Never Thought
Brenda Nicole Moorer / Brand New Heart
Brian Blade & The Fellowship Band / Traveling Mercies

Bruno Major / I Think It Must Be Christmas
Carlos Aguirre / Voces De Otra Vida Y Otro
Carmela Ramirez & Gabriel Chakarhi / Merengue
Chance The Rapper & The Social Experiment feat. Taylor Bennett / Gimme A Call
Charles Lloyd New Quartet / How Can I Tell You
Charlotte Dos Santos / Good Sign
Chip Wickham / Red Planet
Chocolate Genius Inc. / Le Petit Artiste
Chris Thile / Thanks For Listening
Chris Thile & Brad Mehldau / Don't Think Twice It's Alright
Christian Scott feat. Sarah Elizabeth Charles / Phases
Christian Scott Atunde Adjuah / Diaspora
Cigarettes After Sex / Sweet
Claudio Bolzani / El Diminuto Juan
Cody ChesnuTT / Anything Can Happen
Cosmo Pyke / Chronic Sunshine
Count Bass D / Too Much Pressure
Creswick / Harvest
Curtis Harding / Face Your Fear
Daley / On Fire
Daniel Drexler / Febril Remanso
Darius feat. Wayne Snow / Night Birds
Daudi Matsiko / You Can Do Better Than Me, But I Hope You Don't
Dayme Arocena / La Rumba Me Llamo Yo
De La Rivera / Subete A Mi Disco
Diggs Duke / Beyond The Years
Diogo Monzo / Imagem
DJ Harrison / GameRestart
DJ Khaled feat. Chance The Rapper / I Love You
Djembe Jones / Nowhere
Dom La Nena / Felicidade
Dominic Miller / Urban Waltz
Dudu Nicacio / Pela Estrada
Dwight Trible / What The World Needs Now Is Love
E Arenas / Fantasia
Elton & Bedows & Burns Twins / Combo #5
Eric Legnini feat. Mathieu Boogaerts / Night Birds
Everything Is Recorded feat. Sampha / Close But Not Quite
Ezra Collective / Space Is The Place
Fabian Almazan & Rhizome / Alcanza Suite: VIII. Este Lugar
Fabiano Do Nascimento / Oya Nana
Fabio Cadore & Hernan Jacinto / Cuadro Azul
Fabio Torres / De Cara Pro Sol
Father John Misty / Things It Would Have Been Helpful To Know Before The Revolution
Feist / Hey, That's No Way To Say Goodbye
Fernanda Gonzaga / Belo Balao
Flavio Tris / Canto Para 
Flo Morrissey And Matthew E. White / Thinking Bout You
Fortunes. / 501's
Four Tet / You Are Loved
Frank Ocean / Chanel
Frank Ocean / Provider
Franssia Villalobos / Quien Diria
Gabriel Garzon-Montano / Cantiga
Gabriel Martins participacao especial Sabrina Parlatore / Gratidao A Natureza
Gabriela Fernandez / La Luna En Tu Pelo
Ge Luz / Maracuja
Gemma Humet / Crida'm
Germans / Wonderhow
Geyster / When Love Breaks Down
Ginger Root / Belleza
Goldie feat. Jose James / Truth
Goldlink feat. Steve Lacy / Some Girl
Gonzalo Arevalo / Deja (Cancion A Vos)
Guinga / Radio Nacional (Prefixo)
H.E.R. / Every Kind Of Way
Hex One / My Story
Icalma / Bailarin
Ill Camille feat. Punch & Rose Gold / Sao Paulo
Irene Bertachini & Leandro Cesar feat. Joana Queiroz / Canto De Fe
Iron & Wine / Call It Dreaming    
Ivan Ave / Also
Jacob Collier & Becca Stevens / Bathtub

James Blake / Vincent
James Vincent McMorrow / National
Jay-Z feat. Gloria Carter / Smile
Jeb Loy Nichols / Katy Blue
Jeff Bradshaw & Friends with Robert Glasper, Eric Roberson & Tweet / All Time Love (Studio Version)
Jesse Boykins III feat. Isaiah Rashad / Everybody Shut Up
Jessie Ware / Last Of The True Believers (Acoustic)
Joao Senise feat. Romero Lubambo / Influencia Do Jazz
Joe Barbieri feat. Paolo Fresu / Rinascimento
Joe Hertz feat. Jamie Isaac / One Another
John Mayer / Still Feel Like Your Man
Jonah Levine Collective feat. Mndsgn / Zootcase
Jonti / Rain
Jonwayne feat. Low Leaf / Blue Green
Jordan Rakei / Nerve (Acoustic)
Jorge Drexler / Pongamos Que Hablo De Martinez
Joseph Shabason / Aytche
Joyce Moreno / Vatapa
Joyce Wrice / Good Morning (Mndsgn Remix)
Juana Molina / Al Oeste

Julian Mourin / Desorientado
Julie Byrne / Follow My Voice
Jun Miyake / As Tears Go By
Jussara Silveira E Renato Braz / Sorte    
KMD feat. Jay Electronica & MF Doom / True Lightyears    
Kaitlyn Aurelia Smith / To Feel Your Best
Kamaiyah / Does She Know
Karine Aguiar / Promenades
Karriem Riggins / Bahia Dreamin'
Kassin / A Paisagem Morta
Kay & King Mason feat. Sam Trump / If We Must Die, Pt. 1
Keyon Harrold feat. Pharoahe Monch / Her Beauty Through My Eyes
Khalid / Coaster
Kiasmos / Blurred
King Henry feat. Rhye / Moment
King Krule / Czech One
Kllo / Dissolve
Knox Fortune / Lil Thing
Knxwledge / Nomistakes.
La Cangola Trunca / Africa En Once
La La feat. Alonso Nunez / Bebes
La Parsifonica / Suena La Noche
Laetitia Sadier Source Ensemble / Deep Background
Lake / Magazine
Lapalux / Essex Is Burning
Laraaji / Ocean Flow Zither
Laura Marling / Next Time
Laurel Halo / Jelly
Leandro Cabral Trio / Alfa
Leandro Cesar / Floreio
Leandro Maseroni / Contraluz

Leif Vollebekk / East Of Eden
Leo Minax / A Mulher Mais Bonita Do Mundo
Lex feat. Uyama Hiroto / Eternal Quest
Linda Perhacs / One Full Circle Around The Sun
Lisa Knapp / The Night Before May Day
Little Simz feat. Syd / Shotgun
Lizz Wright / Southern Nights
Lord Echo / In Your Life
Lori Cullen / The Face Of Emily
Lotte Kestner / Sweetheart
Loyle Carner feat. Tom Misch / Damselfly
Lucas Heredia / Estrella De Fe
Luis Leite / Ceu De Minas
Mac DeMarco / This Old Dog
Madeleine Peyroux / Meet Charlie Parker
Majid Jordan / Body Talk
Makaya McCraven / The Locator
Mallu Magalhaes / Vai E Vem
Mammal Hands / Wringer    
Mariam Sawires / Wow
Mario Laginha, Julian Arguelles & Helge Andreas Norbakken / Perto De Alguem
Mark De Clive-Lowe / Evergreen
Marker Starling / Conundrum Redux
Matt Martians / Southern Isolation
Mavis Staples / If All I Was Was Black
Men I Trust / I Hope To Be Around    
Michael Head & The Red Elastic Band / Picasso
Michael Olivera Group / Ashe
Mike Moreno / Clube Da Esquina No. 1
Mocky / Shuggie Pie
Monica Salmaso / Caipira
Monica Vasconcelos / London London
Mount Kimbie feat. James Blake / How We Got By
Msafiri Zawose / Malugaro
Natasha Agrama / Black Narcissus
Neymar Dias / Jesus, Bleibet Meine Freude (Cantata BWV 147)
Nicholas Krgovich / Parade
Nick Mulvey / Infinite Trees
Nicolas Ospina / Tres Siempre Seran
Nicole Mitchell & Haki Madhubuti / Often Hard To Believe
Nicole Zuraitis / Failing
Niia / Hurt You First
Nina Becker / Kawaii
Nitai Hershkovits feat. Yougev Glusman / The Palm Of Your Hand
Noah Slee feat. Jordan Rakei / Reality
Nosaj Thing feat. Zuri Marley / Way We Were
Nosizwe / Push
Novo Amor & Ed Tullett / Freehand
NxWorries, Knxwledge, Anderson .Paak / Best One (Remix)
Oddisee / Built By Pictures
Omar feat. Leon Ware / Gave My Heart It's So (Interlude)
Omar Sosa & Seckou Keita / Dary
Ori / There's No One Else
P. Montana feat. NSG / Red Bull
Pablo Passini / Ojos
Phoebe Bridgers / You Missed My Heart
PJ Morton feat. Pell / Claustrophobic
Plipp / Nostalgia
Portico Quartet / Art In The Age Of Automation
Quantic & Nidia Gongora / E Ye Ye
Rabello / Consciencia
Rachel Brotman / Be
Rafa Castro / Menino Dancante

Randy Newman / Lost Without You
Raoul Vignal / Under The Same Sky
Raphael Gimenes / Mandacaru
Rebecca Martin & Guillermo Klein / Freedom Run
Renato Braz / O Cantador
Reunion Project / Varanda
Rhye / Please
Rhye / Taste
Rob Luft / Slow Potion
Ronald Bruner Jr. / Doesn't Matter
Sam Amidon / Fortune
Sam Trump feat. SharmonJarmon! / Spain
Santiago Beis / En La Montana
Sarah Elizabeth Charles / The Fold
Sassy 009 / Are You Leaving
Sean Nicholas Savage / Upon The Surf
Sergio Zabala / Huella
Shigeto / In Case You Forgot
Silvia Perez Cruz / Ai, Ai, Ai
SiR feat. Mesego / Ooh Nah Nah
Sly5thAve feat. Jimetta Rose / Let Me Ride (Radio Edit)
Snoop Dogg feat. October London / Go On
Soft Glas feat. Mulherin / The Bay
Steve Lacy / Some
Still Woozy / Goodie Bag
Stone Foundation feat. Paul Weller / Street Rituals
Sufjan Stevens, Bryce Dessner, Nico Muhly, James McAlister / Moon
Syd / Insecurities
Syd / Bad Dream/No Looking Back
Talib Kweli feat. Jay Electronica & Yummy Bingham / All Of Us
Teen Daze / River Walk
The Blow Monkeys / Nothing To Write Home About
The Breathing Effect / Water Static (Blinding Phoenix)
The Cactus Channel, Sam Cromack / Everything Is Right In Front Of Me
The Feelies / In Between
The Jet Age Of Tomorrow / Ain't A Party

The JuJu Exchange feat. Jamila Woods / We Good
The Marias / I Don't Know You
The National / Nobody Else Will Be There
The Staves & yMusic / Trouble On My Mind
The Unthanks / Never Pine For The Old Love
The Weather Station / You And I (On The Other Side Of The World)
The XX / Say Something Loving
Tigana Santana / Bwanana
Tigran Hamasyan / The Cave Of Rebirth
Tim Bernardes / Ela
Tom Misch / Movie
Tony Allen / On Fire
Toro Y Moi / Labyrinth
Un Blonde / Nerve For The Ages
(U)nity feat. Pedrito Martinez / Retrograde
Vacations / Never Thought I'd See The Passionfruit
Valerie June / With You
Vanessa Moreno / Em Movimento    
Vera / Life Round Here
Victor Provost / Bright Eyes
Victory / Feeling Good
Vitor Goncalves Quartet / Winter Landscapes
Washed Out / Hard To Say Goodbye
Wayne Snow / Rosie
Will Samson / O Medo (Day Three)
Will Stratton / Some Ride    
Xenia Franca / Pra Que Me Chamas?
XXXTentacion / Carry On
Yaeji / Passionfruit
Zara McFarlane / Peace Begins Within
Zephyr Avalon feat. Jonah Levine & Mike Lebrun / Pomerene Tombstone

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12月7日──橋本徹のコンピ情報&パーティー情報!

この1年間ではジェイムス・ティルマン〜ルイーザ・ブリーナ〜サラミ・ローズ・ジョー・ルイス×2に続くアプレミディ・レコーズからのリリースとなるライアン・ドライヴァーの新作『Careless Thoughts』は、もう聴いていただけましたでしょうか。UNITED ARROWS連載コラム「音楽のある風景」でも紹介させてもらいましたが、ジャズ〜フォーク〜ポップスにまたがり活況を極めるトロント・インディー・シーンへの注目を抜きにしても、本当に心温まる、冬の夜に聴きたい名盤だと思います。

 

そして待ちに待った“Good Mellows”シリーズの通算10作目となるコンピ『Good Mellows For Afterglow Meditation』も、本日サンプル盤が上がってきました。この瞬間が近年のいちばんの楽しみです。“Good Mellows”と言えば、これまでは夏〜海辺〜夕暮れといったイメージが強かったかもしれませんが、こちらも季節感を重視して「余韻と瞑想のチルアウト・メロウな旅」をテーマに選曲したこともあり、この冬の愛聴盤になること間違いなしです。

 

ライナーノーツで全曲を解説していますし(そこにもいきさつを書きましたが、エクスクルーシヴ音源を新録して提供してくれたUyama Hirotoには、どれだけ感謝しても足りません)、YouTube試聴用トレイラーもありますので、ぜひ聴いてみていただいて、気に入ったらCDやレコードを手にしてもらえたら嬉しいです。今回もFJDによるアートワークもとても素晴らしいので。

 

美しいアンビエント・ピアノとふくよかなアフロ・ビートが邂逅した名作、Underground System「Bella Ciao」(Gigi Masin & Leo Mas & Fabrice Laguna Mix)のライセンス収録に尽力してくれたMarco Gallerani(Hell Yeah Recordings / Balearic Gabba Soundsystem)をベルリンから招き、日本からはCalmやDJ YOGURT、ライヴでBobby Bellwood by sauce81とshiba@FreedomSunsetにも参加してもらって、12/9にはカフェ・アプレミディで、12/17には由比ヶ浜・Ocean Harvest Cocomoで(FJDの作品によるインテリア・デコレイションにもご期待ください)、リリース記念パーティーも開きます。絶対に楽しい時間になると思いますので、足を運んでいただけたらありがたいです。また、今月はレギュラー・パーティーに加え、昨年に引き続きDJが互いの年間ベストをかけあう「2017ベスト選曲会」も、12/10と12/23の2回にわたってアプレミディで行いますので、ぜひご来店ください!

 

 

『Good Mellows For Afterglow Meditation』ライナー(橋本徹)

 

2015年春に『Good Mellows For Seaside Weekend』でスタートを切り、その後も『Good Mellows For Sunset Feeling』『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』『Cantoma For Good Mellows』『Good Mellows For Sunrise Dreaming』『Good Mellows For Sunlight Breezin'』『Good Mellows For Stardust Memory』『Gigi Masin For Good Mellows』『Good Mellows For Beautiful Lights』とご好評をいただき、順調にリリースを重ねてきたSuburbia Recordsの“Good Mellows”シリーズも、いよいよ通算10作目。その節目となる最新作は、「余韻と瞑想のチルアウト・メロウな旅」をテーマに、珠玉のアンビエント・ブレイクス〜バレアリック・ブリーズ〜フォーキー・バレアリカ〜フローティン・ハウス〜ジャジー・ビートダウン〜エスニック・ラウンジ〜オーガニック・エレクトロニカ〜スピリチュアル・メディテイションを80分以上にわたって紡いだ『Good Mellows For Afterglow Meditation』。それは夢幻と幽玄をたゆたうサウンド・スケッチ。今回も全14曲中12曲が世界初CD化、というのも特筆すべきトピックだと思う。

 

オープニングを飾るのは、人気のLord Echoプロデュースによるニュージーランドのジャズ・ピアノ・トリオThe Elder Statesman。彼らの2014年の7インチから、Nujabesファンも必聴と言いたくなるピースフルな音色が美しいメロウ・スピリチュアル・ブレイクス「Montreux Sunrise」を。

 

続いてカセット・オンリーのリリースだった80年代ジャーマン・ミニマル・ウェイヴ・デュオTranceへ。「Ambiente」はシタールがフローティンな桃源郷へと誘うブラインアン・イーノ〜コスミッシェ・ムジークにも通じる至高のメディテイティヴ・アンビエントで、ハンブルグのディガーBasso主宰のGrowing Binにより2017年、『Tapes』という編集盤で初めてアナログ・レコード化された。

 

“Good Mellows”シリーズの常連にしてバレアリック・チルアウトの最高峰International Feelを主宰するマーク・バロットの「Winter Sunset Sky」は、季節感も相まってこのコンピレイションのイメージの源泉となった曲。2016年に250枚限定ホワイト盤10インチで発表され(後に彼のセカンド・アルバム『Sketches From An Island 2』にも収録)ヘヴィー・プレイしていた、移りゆく冬の夕暮れの空をコマ落としでスケッチしたような作品。

 

やはり“Good Mellows”常連のバレアリック名門レーベル、デンマークMusic For Dreamsからの逸品が続き、主宰者のケネス・ベイガーにより見出されたデュオNick Mackrory & Harry Collierへ。心地よいアコースティック・ギターと儚げに浮遊するアンニュイ・ヴォイスによるフォーキー・ボサ・バレアリカ「Elle Dit」を、Ocean Moonレーベルでもお馴染みSeahawksが、これまたフローティンな楽園リミックスに仕立てている。この素敵なトラックを最後に収めたMackrory & Collierのアルバム『On The Other Side』のジャケットも、まるでSuburbia RecordsからリリースされたChris Coco『My Favourite Place (Before Sunset)』の夜版のようで、このコンピレイションに大きなインスピレイションを与えてくれた。

 

カナダはモントリオールの気鋭アーティストMichael Silveroのニューエイジ・バレアリカ〜ダウンテンポ・アンビエント・プロジェクトとして話題のCFCFも、再びInternational Feelから。人気曲「Chasing」にドゥルッティ・コラムを彷彿させる清涼感のあるアコースティック・ギターとアコーディオンが印象的な極上のメランコリック・エディットを施しているのは、僕もキャリアを振り返るインタヴューを受けたことがある音楽ウェブサイト・メディアTest Pressingを主宰しているApientoことPaul Byrne。ポール・マーフィー主宰のClaremont 56〜Leng、そしてGolf Channel〜Phantom Island〜Music For Dreamsといった錚々たるバレアリック名門から関連作を発表しているApientoの名は、“Good Mellows”ファンの方なら憶えておいてほしい。

 

そしてウエスト・コースト・バレアリックを代表するレーベルSentrallより、山下達郎「Love Talkin'」を天上の心地よさでダビーにリエディットした「Honey It's You」が大人気を呼んだのも記憶に新しい、その名が物語る名ビート・ブローカーThe Beat Brokerの登場。永遠に聴き続けていたくなるこの最新クリア・ヴァイナル12インチの「Extended Away」も、まさしく音の桃源郷へと誘われるとしか言いようがない絶品のメロウ・チルアウト・バレアリカ。『Good Mellows For Stardust Memory』に収録した同じSentrallからのRollmottle「Sunsat」のようにじわじわと来る浸透力と中毒性も高く、そのメランコリック版といった感じだ。Chris CocoとのチルアウトDJツアーでもスピンしたら、彼がすぐさま反応して大絶賛していたのも忘れがたい。

 

フェラ・クティの名作に由来するブルックリンの男女混成アフロ・ビート・バンドUnderground Systemのキラー・チューン「Bella Ciao」は、Tempelhof & Gigi MasinなどもリリースしているイタリアのHell Yeah Recordingsから、このレーベルならではのミラクル・リミックスを。イタリアン・アンビエントの生きる伝説Gigi Masinとイビサの重鎮Leo Masの黄金タッグによる美しいピアノとふくよかなビートの邂逅。清らかで滑らかでありながらタフでエレガントな悠久のブリージン・バレアリカに生まれ変わらせている。

 

続くMindstreamingの「Screen Memory」は、ジョージア(グルジア)の首都トビリシの新鋭による、ピアノやサックスのアーバン&アダルトな香りに彩られたジャジー・ダウンテンポの秘宝。このマルチ奏者Luka Dgebuadzeのソロ・プロジェクトのデビューEP『Conflict 1』は、2017年夏に最も好感を抱いた12インチかもしれない。彼が愛してやまないだろうロニー・リストン・スミスを始めとする70sジャズ・ファンク〜フュージョンを現代に昇華したような、クールなビート・センスとスペイシー・メロウなエレクトリック・ピアノの波。リミックスをPhil Asher & The Mighty Zafが手がけていたのも納得で、2000Black周辺などウエスト・ロンドン・シーンに関心のある方も必聴だ。

 

中盤のハイライトとなるのは、“Good Mellows”コンピには鮮やかな水色のカラー・ヴァイナル12インチが出た直後の2年前からライセンス申請していたLuvlessの「Sometimes」。ようやくアプルーヴァルOKとなり待望のエントリー。最初にかけたときから、僕の音楽仲間たちが興奮気味にDJブースに駆け寄ってきたほどの、ドイツの新世代アクトによる極めつけだ。優しく哀愁を帯びたピアノとスウィートな男声サンプルが琴線に触れる恍惚のメロディーを奏でる、身も心も芯から温まる絶品の美麗ディープ・ハウスにしてアフター・アワーズにも沁みるビートダウン。

 

クライマックスに向けては、International Feelからデビューし、Golf Channelにも傑作を残すDean MeredithとBen ShentonのユニットMind Fairが、自身のレーベルRogue Cat Soundsから放った渾身の一枚を。摩天楼の夜を駆け抜ける、ご存じジョー・ジャクソンの名曲「Steppin Out」の好カヴァーだ。しかもMark Eがじんわりと沁みてくる優雅でドリーミーな至上のビートダウンに再構築したビューティフル・ダブ・ヴァージョン。Mark Eワークスではその名も「Beat Down」も僕の10年来のフェイヴァリットで、いまだにDJプレイすることがある。

 

デイム・ファンクとの共演やPPUからのリリースでも知られるLAのシンセ・ファンク/ブギーの名プロデューサーBenedekが、Matthewdavid主宰Leavingから発表した『Bene's World』は、ハウス〜ビート・ミュージックにもまたがる2017年の愛聴盤だったが、その中からこのコンピレイションの言わばタイトル・トラック的な意味合いをこめて選んだのが「Afterglo」だ。彼のアーティスト・イメージを鮮やかに広げてくれたメロディアスでバレアリック・メロウな会心のハウス・ブレイクスと言えるだろう。

 

続いてはNick Holder主宰DNHに残された知る人ぞ知る2006年作で、ジャズ・ピアノの美しい旋律がラウンジーでチルアウトなソフィスティケイテッド・ハウス、Trackheadz「What's For Dinner?」を収録する予定でマスタリングまで終えていたが、DNHとアーティスト・サイドで契約上の行き違いがあったことがわかり、急遽回避してMelbaの「Phantasea」へ。これもやはり知られざると言っていいだろう、Luv Jam主宰Blind Jacks Journeyの10インチ・オムニバスEP『BLND10.5』に潜んでいた珠玉のスローモー・アンビエント。曲名通りファンタジックなオーシャン・フィールも香らせながら、シネマティックな音像が幻想的に浮遊するメロウ・ドリーミンなダビー・バレアリカだ。

 

さらにエンディングに向けて、“Music from Planet Earth: Past, Present, Future”を標榜するイギリスの誇り高き名門Soundway渾身のエスニック・メディテイションと現代電子音楽の融合、Msafiri Zawoseの「Malugaro」へ。中央タンザニアのゴゴ族のGogoミュージックの継承者にして開拓者(ピーター・ゲイブリエルのコンサート・ツアーに参加していたHukwe Zawoseの息子だそう)と、アレンジ&キーボード&プログラミングを担当したサム・ジョーンズ(Mugwisa International Xylophone Groupも手がけていた)のコラボレイションによる、親指ピアノやチャントがヒプノティックかつスピリチュアルに響くアフリカン・オーガニック・エレクトロニカの至宝だ。僕はDJプレイでよく、DJ Spaniolによるカエターノ・ヴェローソ「Tom」をリワークした7インチにつないでいたが、権利関係のクリアランスが困難ということで、こちらはコンピレイションへの収録は実現しなかった。

 

そしてラストを飾るのは、Uyama Hirotoの名曲「Magicnumber」。突如Trackheadzの「What's For Dinner?」を選外とせざるをえなくなり途方に暮れていたが、カフェ・アプレミディが18周年を迎えた週末、アニヴァーサリー・パーティーでライヴも披露してくれた彼が、ソプラノ・サックスをメインにした未発表ヴァージョンを仕上げてくれ(オリジナル・ヴァージョンはMarterのヴォーカルをフィーチャー)、エクスクルーシヴ収録させてもらえることになった。もちろん世界初CD化、どれだけ感謝しても足りない。そして何よりも、作品の途方もない素晴らしさ。彼の楽曲は『Free Soul Nujabes』にも選ばせてもらったし、『Good Mellows For Sunrise Dreaming』には不朽の名作「End Of The Road」を入れさせてもらったが、聴いているとこの曲が鎌倉・由比ヶ浜の夕暮れのイメージにインスパイアされて生まれた、ということに深くうなずき、陶然とした気持ちになってしまう。夕焼けに染まる赤い空から陽が沈み影がなくなり、ほの暗くも幻想的な色合いに世界が包まれていくマジック・アワーの光景──そんな美しくもセンティメンタルな余韻を漂わせながら、このコンピレイションは瞑想的に幕を閉じていく。

 


V.A.『Good Mellows For Afterglow Meditation』(CD)
01. Montreux Sunrise / The Elder Statesman
02. Ambiente / Trance
03. Winter Sunset Sky / Mark Barrott
04. Elle Dit (Seahawks Remix) / Nick Mackrory & Harry Collier
05. Chasing (Apiento Edit ) / CFCF
06. Extended Away / The Beat Broker
07. Bella Ciao (Gigi Masin & Leo Mas & Fabrice Laguna Mix) / Underground System
08. Screen Memory / Mindstreaming
09. Sometimes (Original Mix) / Luvless
10. Steppin Out (Mark E Merc Dub) / Mind Fair
11. Afterglo / Benedek
12. Phantasea / Melba
13. Malugaro / Msafiri Zawose
14. Magicnumber (Saxmental Version) / Uyama Hiroto

 

V.A.『Good Mellows For Afterglow Meditation EP』(レコード)
A1. Extended Away / The Beat Broker
A2. Elle Dit (Seahawks Remix) / Nick Mackrory & Harry Collier
A3. Malugaro / Msafiri Zawose
B1. Sometimes (Original Mix) / Luvless
B2. Steppin Out (Mark E Merc Dub) / Mind Fair
B3. Afterglo / Benedek

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