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6月19日──橋本徹の2016上半期ベスト

Toru II Toru通信(2016年6月18日)
橋本徹(SUBURBIA)が選ぶ2016年上半期ベスト25
Selection & Text by Toru Hashimoto (SUBURBIA)


(1)Anderson .Paak『Malibu』
(2)Chance The Rapper『Coloring Book』
(3)Bibio『A Mineral Love』
(4)Joaquin Joe Claussell『Thank You Universe』
(5)Carlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』
(6)Domo Genesis『Genesis』
(7)Jordan Rakei『Cloak』
(8)Robert Glasper×Miles Davis『Everything's Beautiful』
(9)Marcus Strickland's Twi-Life『Nihil Novi』
(10)ALA.NI『You & I』
(11)Kaytranada『99.9%』
(12)Badbadnotgood『IV』
(13)KING『We Are KING』
(14)James Blake『The Colour In Anything』
(15)Camila Meza『Traces』
(16)Kyle Hall『From Joy』
(17)Louie Vega『Starring...XXVIII』
(18)Mark Barrott『Sketches From An Island 2』
(19)Tonight Will Be Fine『Elephant Island』
(20)Gigi Masin『Plays Hazkara』
(21)Corinne Bailey Rae『The Heart Speaks In Whispers』
(22)Gregory Porter『Take Me To The Alley』
(23)BJ The Chicago Kid『In My Mind』
(24)Pulsar Trio『Cathes Traum』
(25)New Zion w. Cyro『Sunshine Seas』

 

・今年になってからの「usen for Cafe Apres-midi」の選曲リストを見返しながら、よく聴いたアルバムを25枚リストアップした。必然的にCDで親しんでいた作品が中心になっている。

 

・MVPは文句なしに最もヘヴィー・プレイしたアンダーソン・パークだろう。EP『Link Up & Suede』が良かったNxWorries(アンダーソン・パーク+ノレッジ)始め、ドモ・ジェネシス〜ケイトラナダ〜ハイエイタス・カイヨーテなど多くの客演も含め大活躍。チャンス・ザ・ラッパーは昨年の個人的No.1だったSoX『Surf』に続いてフィジカル・リリースはないが、そのカラフルでユーモアがあって風通しのよい、多幸感に満ちたフレッシュな魅力には抗えない。ミュージカル調のクライマックス「Finish Line / Drown」は『Surf』における大名曲「Sunday Candy」のように胸が疼く。ケイトラナダ/KINGあたりもプロデュース・ワークを含めた旬の勢いを買って。ジョー・クラウゼル/ルイ・ヴェガ(それにカイル・ホールも)のハウス勢はまるでベスト・アルバムのようなニュー・アルバムだった。ロバート・グラスパー×マイルス・デイヴィスとマーカス・ストリックランド×ミシェル・ンデゲオチェロは、現在進行形アーバン・ミュージックのジャズ部門を代表して。大好きなEP『Groove Curse』のアナログがようやく日本に入ってきたJordan Rakeiは待ち望んでいたファースト・アルバムをさっそく愛聴している。春夏秋冬と四季折々に集めていた4枚の限定7インチがまとめられたALA.NIはライヴも素敵だった。BBNGはサンプル盤が届いたばかりだが、間違いなくキャリア最高傑作。その他の作品についても、「usen for Cafe Apres-midi」のセレクションが更新されるたびに、「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」コラムで詳しく紹介してきたので、チェックしてみてほしい。

 

・ちなみに曲単位でいちばん聴いたのは、BJ・ザ・シカゴ・キッドのマーヴィン・ゲイ〜ディアンジェロへのオマージュ「Turnin’ Me Up」と、彼をフィーチャーしたマッドリブ・プロデュースのアンダーソン・パーク「The Waters」。次点はMVもいいその名もアヴェレイジ・ラップ・バンドの「El Eh」かな。コリーヌ・ベイリー・レイもアルバムというより曲として、KINGとの好相性を示した「Green Aphrodisiac」や、『Curtis/Live!』ヴァージョンの「The Makings Of You」を思い浮かべずにいられないアコースティック・ソウル「Do You Ever Think Of Me?」を偏聴した。

 

・リストアップの過程で別格扱いとしたのは、本来ならTop3に入るカニエ・ウェストの物議をかもした『The Life Of Pablo』と、高校生の頃から思い入れ深いアーティストであるベン・ワットの『Fever Dream』。マックスウェルもレヴュー解禁前なので遠慮した。日本盤がSuburbia RecordsからのリリースのCantomaとSmith & Muddも。他に候補に挙げていたのは、カヴァー・レパートリーが僕の趣味と酷似していたマーカー・スターリング/ミア・ドイ・トッド/マーク・コズレック、充実した前作の追記盤的な意味合いが濃かったケンドリック・ラマー/モッキー(デジタルEP『Recalibrations Vo.1』がアナログになったばかりのハイエイタス・カイヨーテも同様か)、もちろんビヨンセ/ドレイク/レディオヘッドも。さらに列挙するなら、シーホークス/Mammal Hands/ゴーゴー・ペンギン/Moomin/ディグズ・デューク/Evan Geesman/テラス・マーティン/コレクティヴ・ピース/メイヤー・ホーソーン/エスペランサ・スポルディング/シルヴィア・ペレス・クルース/ウィリアム・フィッツシモンズ/フレイザー・アンダーソンといったあたりか。南米勢では、2015年作ながら年始に入手したアルゼンチンのフロール・ボバディージャ&イグナシオ・アミルを最も聴いた。続いてグレッチェン・パーラトに通じるヴォーカル・ワークも好感度大なブラジルのヴァネッサ・モレーノ&フィ・マロスティカのジルベルト・ジル作品集かな。日本勢では藤本一馬『Flow』、曲単位でならHi’Spec feat. OMSB「Goin Back To Zama City」。

 

・毎週たくさん購入しているアナログ12インチについては、また別の機会に触れたいと思うが、ミニ・アルバム仕様だった、レーベル買いしているRhythm Section Internationalから出たSilentjay×Jace XL『Sacrifice』と、1995年の『World Ultimate』がフェイヴァリットだったThe Nonceの片割れSachによるシルク・スクリーン10インチ『fiDELITY』(彼のベスト盤『Essential』に寄せられたカルロス・ニーニョのライナーが熱い)を特筆しておこう。待望していたアナログ化が実現したSiRの『Seven Sundays』(アンダーソン・パーク&ノレッジも活躍)や、逆にCDが出し直されたムーンチャイルドの『Please Rewind』(エリカ・バドゥ〜クアドロン〜ジ・インターネット〜KINGなどと共時性を感じさせるアンビエントR&B以降のピュアなメロウネスの結晶)なども愛聴盤だった。

 

・『Ultimate Free Soul 90s』や“Good Mellows”シリーズといった自分の選曲作以外のコンピでは、やはりムーディーマンの『DJ-Kicks』。特にかつて僕が『ブルー・モノローグ Daylight At Midnight』のためにライセンス申請していたBeady Belle「When My Anger Starts To Cry」が入っていたのには、ひどく感銘を受けた。

 

・リイシューでは、最新作もエントリーした(テンペルホーフとのコラボ盤もエクスペリメンタル・アンビエントの好作だった)ジジ・マシンに尽きる。チルアウト・メロウ・ピアノ・アンビエントの最高峰、Suburbia Recordsからのボーナス音源大充実の幻の名盤ファースト『Wind』を筆頭に、数年前には考えられなかった新旧リリース・ラッシュ。2010年がカルロス・アギーレの年だったように、2016年はジジ・マシンの年として記憶されるはず。来日公演の実現を切に願う。

 

・僕が尾川雄介と共同監修したUNIVERSALのレア盤復刻プロジェクト「EXTRAVAGANZA!」も、予想を上まわる好評を得た。とりわけKing James VersionとMark Capanniのカップリング盤は、何と洋楽旧譜しかも7インチ・アナログながらオリコン・ウィークリー・シングル・チャートの73位にランク・イン。早くも続編の企画が進行しているので、楽しみにしていただければと思う。

 

追記:
プリンスやデヴィッド・ボウイを始め、僕も思い入れ深い偉大なアーティストたちが、相次いでこの世を去った。彼らへの感謝と敬意をこめ、謹んでご冥福をお祈りいたします。

 

再追記:
と、書き終えたところで、今度はクラウス・オガーマンの訃報が届いた。大好きな編曲家でした。R.I.P.の祈りをこめ、合掌。

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