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6月21日──橋本徹のコンピ情報&2015上半期ベストetc.

ブログの更新がまた滞ってしまい恐縮です。まずは感謝の言葉からお伝えしたいと思います。この春に僕の監修・選曲でリリースされた7枚のコンピレイションCDと2枚のアナログEP(そして100枚のリイシューCDも)、本当にたくさんの皆さんに聴いていただき、ありがとうございました。アプレミディ・セレソン店長の武田誠も、「今まででいちばん忙しい」と語っているほどで、ただひたすらお礼を言いたい気持ちです。
やはりSuburbiaやFree Soulの根強い人気を実感したりもしていますが、新しいシリーズとして発表した『Good Mellows For Seaside Weekend』もなかなかの健闘ぶりで(国内だけでなく、海外からも多くの嬉しい反響が届いています)、早くも第2弾となる“夕暮れメロウ”をテーマにした『Good Mellows For Sunset Feeling』の7/22リリースが決定しました(今回もアナログEPと共に)。マスタリングは明後日ですが、前作に優るとも劣らない素晴らしい名作群を揃えることができて、胸の高鳴りを抑えることができません。Good Mellowsにこめた僕の並々ならぬ思いは、HMVウェブサイトの対談で正直にたっぷりとお話させてもらっているので、ぜひ読んでみてください。

この夏のその他のリリース予定についても簡単に。『Good Mellows For Sunset Feeling』に続いて7/29には、HMV25周年&カフェ・アプレミディ15周年記念盤としてご提案いただいた『Cafe Apres-midi Fume』『Cafe Apres-midi Olive』のリニューアル・リイシューがあります。“午後のコーヒー的なシアワセ”を標榜した最初のリリースからちょうど15年というタイミングで、今では発売権の移ってしまったMPSレーベルなどの音源に代わって、新たに選んだ6曲ずつの計12曲が追加収録されています。8月には全くの新規選曲による、12年ぶりとなる“幸せそうな老人の顔とフランスの伝統色”ジャケットによるカフェ・アプレミディ・コンピも続きますので、楽しみにしていてください。
さらに8/26には、ワーナーからオファーいただいたFree Soulの3枚組ベスト・オブ・ベスト・コンピ『Forever Free Soul Collection』も予定されています。まさにキラー・チューンがぎっしりという感じで、昨年のユニバーサルの『Ultimate Free Soul Collection』のワーナー編、と考えていただければわかりやすいと思います。9月にはオリジナル・アルバムのSHM-CDによる復刻も50枚あって(何と各¥1,300)、まさしく輝かしいような顔ぶれが揃っています(カーティス・メイフィールドやダニー・ハサウェイはもちろん、レオン・ウェア/ユージン・レコード/シスター・スレッジ/ヴォイセズ・オブ・イースト・ハーレム/ナチュラル・フォー/アーチー・ベル&ザ・ドレルズ/タワー・オブ・パワー/チャカ・カーン/パトリース・ラッシェンといったお馴染みの面々に、リンダ・ルイスやジュディー・シルといった女性SSW、フィフス・アヴェニュー・バンド/ハース・マルティネス/ダニー・クーチ/ジェシ・コリン・ヤング/ヴァン・モリソンなどのホワイト・ソウル〜フォーキー系、ユージン・マクダニエルズとハーレム・リヴァー・ドライヴに代表されるレア・グルーヴ、スヴァンテ・スレッソン/ラビ・シフレ/カリタ・ホルムストレムのヨーロッパ勢に、ポジティヴ・フォースやプリンスまで)。
そうそう、同時期にユニバーサルからは、Free Soulオリジナル・アルバムのアナログ・リイシュー20枚という話もいただいて、ジャクソン・シスターズ/コーク・エスコヴェード/オデッセイ/グロリア・スコット/テリー・キャリアー/レイ・テラス/アルゾ&ユーディーン/ブレイディー・バンチ/ジョージー・フェイム/ダスティー・スプリングフィールド/ブロッサム・ディアリー/マリーナ・ショウ/ドナルド・バード/ポインター・シスターズ/アルトン・マクレイン&デスティニー/ミニー・リパートン……といったFree Soulを代表する名盤群が、レコードで手に入るようになります。これは本当に快挙、この10年くらいは想像もできなかった夢のような話で、こういう企画は大歓迎ですね。

長い間お待たせしてしまっているニューヨークの名門ブラジリアン・ジャズ・レーベル、アドヴェンチャー・ミュージックの2枚組コンピレイションも、夏の終わりくらいに出せたらと考えていますが(100枚におよぶ同レーベルのアルバムをすべて聴き返しました)、今シーズンのコンパイル・ワークスはそんなところでしょうか。この夏はDJパーティーやトークショウへの出演もたくさん予定されていて、メディアの取材も活発にこなしていますので(ちょうど7/20発行のマガジンハウスの女性誌「& Premium」の“心を穏やかにしてくれる、音楽と旅”特集で、Free Soul〜Good Mellowsインタヴューを受けたところです)、さまざまな場で皆さんにお会いすることができたら嬉しいです。
それでは最後に、昨夜Bar Musicで開かれた渡辺亨さんとの選曲会「Toru II Toru」のフリーペーパーに寄稿した、僕の2015年上半期ベストについての記事を転載しておきますので、よかったらお読みください。素晴らしい音楽と共に、梅雨をのりこえ、楽しい夏をすごしましょう!



Toru II Toru通信(2015年6月20日)
橋本徹(SUBURBIA)が選ぶ2015年上半期ベスト20
Selection & Text by Toru Hashimoto (SUBURBIA)

(1)Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』
(2)Donnie Trumpet & The Social Experiment『Surf』
(3)Kamasi Washington『The Epic』
(4)Phony PPL『Yesterday's Tomorrow』
(5)The Internet『Ego Death』
(6)Tigana Santana『Tempo & Magma』
(7)Chassol『Big Sun』
(8)Tyondai Braxton『Hive1』
(9)Quartetto Fantastico『Music For Dreams』
(10)Hiatus Kaiyote『Choose Your Weapon』    
(11)Gaussian Curve『Clouds』
(12)Tropics『Rapture』
(13)Jamie xx『In Colour』
(14)Jonny Faith『Sundial』
(15)Joey Bada$$『B4.Da.$$』
(16)Jose Gonzalez『Vestiges & Claws』
(17)Vetiver『Complete Strangers』
(18)Alan Hampton『Origami For The Fire』
(19)Melody Gardot『Currency Of Man』
(20)Cassandra Wilson『Coming Forth By Day』

・2015年上半期No.1は文句なしにケンドリック・ラマー(ちなみにディアンジェロは2014年のベスト・セレクションに選出している)。続いて配信オンリーながらドニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメントも、ここに入れないわけにはいかないほど好きだった(エリカ・バドゥが歌う「Rememory」から大名曲「Sunday Candy」に流れる瞬間に涙)。後は順不同に選んでいるが、6月末にリリース予定というジ・インターネットとビラルをまだ聴けていないのが心残りだ。
※そう書いた翌日の6/19、ソニー・ミュージックネットワークのおかげで、ひと足早くジ・インターネットのニュー・アルバムを聴くことができた。まさしく“2010s Urban-Mellow”という感じの素晴らしい内容で、もちろんここに追加エントリー。敢えて言うなら、シャーデー×エリカ・バドゥ×ポーティスヘッド。最高のベッドルーム・ソウルとして(夜のドライヴにもいいだろう)末永く愛聴するに違いない名盤の誕生だ。
・ジョーイ・バッドアスは話題作のリリースが続いたヒップホップを代表して。ここにも90年代復興の流れを強く感じずにはいられなかった(バンド版デ・ラ・ソウルという自由でカラフルな印象を受けたフォニー・ピープルにもだが)。
・15枚くらいまではすんなりと選ぶことができたが、残り5枚(「Toru II Toru」的なテイストを多分に意識した)は惜しくも選にもれた作品群と互換性を認められる。そうした次点となったアーティストを列挙するなら、ホセ・パディーヤ/ルーカス・アルーダ/モッキー/ラパラックス/プレフューズ・73/スフィアン・スティーヴンス/リトル・ウィングス/エリック・シェノーあたり。親指ピアノが印象的なモザンビーク×ノルウェイ×スウェーデン×ジンバブウェのMonoswezi、アルゼンチンのヘオルヒナ・アッサンやポルトガルのアントニオ・ザンブージョの名も挙げておこう。企画盤ならミゲル・アトウッド・ファーガソン、それにヴィニシウス・カントゥアリアか。ブライテスト・ホープはベンジャミン・クレメンタイン。
・ジャズではやはりカマシ・ワシントンを突出して愛聴したが、コンピ『Free Soul〜2010s Urban-Jazz』に収めたマーク・キャリー/ネジャム・ロズィエ/ジェニア・ストリガレフ、そしてプレゼントCD-Rに収録した名だたる面々の新作も充実していた。
・選曲の仕事をしていることもあり、CDは相変わらずたくさん買って聴いているが、実はここ1〜2年、90年代から2000年代半ばまでと同じくらい多くのアナログ盤12インチを購入していることも特筆しておきたい。毎週レコード・ショップに通う中で、音楽シーンはあの頃に負けない黄金期を迎えている、と感じることさえある。そうした豊かな実りは、『Good Mellows』や『2010s Urban』のコンピレイション・シリーズ、「Jazz It Up」や「harmony」といったDJパーティーで楽しむことができるので、ぜひ多くの皆さんと現在進行形で、音楽の歓びを分かち合うことができたらと考えています。
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