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12月21日&27日──橋本徹のコンピ情報&2013ベスト・アルバム30/ベスト・ソング100

待ちに待った僕の最新コンピ『Free Soul ~ 2010s Urban-Mellow』がリリースされました。2010年代に入っての自分のリスニング・ライフの集大成となればと思っている“2010s Urban-Mellow”シリーズの第1弾。CD購入特典として制作したディスクガイド「Suburbia Suite presents Free Soul Perspective 2013」の、言わばダイジェスト・サウンドトラックとしても楽しんでいただけるはずです。
前回のブログで全曲解説ライナーを掲載しましたが、今回は今日のタワーレコード渋谷店でのトーク&選曲イヴェントでも司会を務めてくれたwaltzanovaによる詳細レヴューと、そこで配布された「Free Soul アーバン・メロウ通信」に僕が寄せた選盤と文章“2013ベスト・アルバム30枚/ベスト・ソング100曲”をお届けします。2013ベストに選んだ作品も数多く収録された『Free Soul ~ 2010s Urban-Mellow』が、皆さんのこの冬のヘヴィー・ローテイションになることを願って──。


12/27追記:
昨夜の“Free Soul Underground 2013”ライヴストリーミングDJ、とても楽しかったです。TOWER RECORDS CAFE店内だけでなく、1Fの入り口の前で、スクリーン・モニターを観ながら踊っている男の子たち(何と19〜21歳のグループでした)がいたのも、嬉しい驚きでした。雨の中を集まってくれたみんな、どうもありがとう。12/21〜12/29の間は、タワーレコード渋谷店2Fが“Free Soul Cafe”になっていますので、どうぞ足を運んでみてください。
『Free Soul ~ 2010s Urban-Mellow』へのご支援も、本当にありがとうございます。アプレミディ・セレソン通販でも、発売1週間足らずで100枚以上のオーダーをいただき(何と『bar buenos aires ~ Estrella』も50枚)、CD不況のこのご時世、感謝の気持ちは絶えません。1/7にはTBSラジオで20時から1時間、“Free Soul”と“2010s Urban-Mellow”についてNONA REEVESの西寺郷太と生放送で語り尽くしますので、楽しみにしていてください。“温故知新の会・代表”として、たっぷり選曲します。
それでは、2013年もカフェ・アプレミディ〜フリー・ソウル〜サバービアをありがとうございました。来年は、現在進行中のユニバーサル/ソニー/Pヴァイン/インパートメント(1/24リリース予定の『Urban-Mellow FM 77.4』のジャケットが素晴らしいものになったので、さっそくこのページに掲げておきます)/コロムビア=キリンジに続いて、ビクターとSweet Soul Records、それにニューヨークのハイブリッド・ブラジリアン/ジャズ・レーベルAdventure Musicからも(何と仲介役となってオファーの連絡をくれたのは、マンデイ満ちるさんでした)お話をいただいているので、久しぶりにコンピをたくさん作ることができそうです。2014年も素晴らしい音楽と共にありますように。『Urban-Mellow FM 77.4』のサブキャッチとした「Look For The Silver Lining」の歌詞と、ラスト・ソングに考えているグレゴリー・ポーター「Be Good」の歌声をかみしめながら。


The Story Goes On〜ひと続きの物語 『Free Soul〜2010s Urban-Mellow』
Text by waltzanova

これはファッションやアートでもそうだが、自分の好きなクリエイターが新しいプロダクトを立ち上げるときには、いつもワクワクする感覚を覚える。おそらく作り手の側も意欲と高揚感に溢れているからだろう、こちらにもそのヴァイブスが伝わってくるのだ。橋本徹(SUBURBIA)のコンピレイション・シリーズも同じ。「フリー・ソウル」、「カフェ・アプレミディ」、「メロウ・ビーツ」、「ジャズ・シュプリーム」、「音楽のある風景」……どれも最初の一枚を聴こうという瞬間、今度はいったいどのような世界を描いてくれるのだろう……? という期待に胸を高まらせながら、プレイヤーにCDをセットしたものだった。
もちろん、今回の「2010s Urban-Mellow」シリーズも、凛としたフレッシュな光沢を放っている。2014年にかけて続々とリリースが控えているが、まずはこのP-VINE盤で、その世界観をたっぷり味わいたい。
今シリーズはアーバン・メロウと銘打たれているが、タイトルに“Free Soul”の文字が含まれていることからもわかるように、フリー・ソウル感覚の2010年代的な解釈の試みである。あるいは現在のLAビーツ〜アンビエントR&B〜ポスト・ダブステップ〜NYジャズなどを、アーバン・ミュージックとして捉えるそれでもある。
オーセンティックなソウル・マナーの中に初期プリンス的な瑞々しさを感じさせるDaleyの「Game Over」、坂本慎太郎によるDumpの「NYC Tonight」リミックスという冒頭の2曲で、本作の風景が見えてくる。それはイルミネイションの瞬く夜の都会だ。週末の華やぎがあるとより素敵かもしれない。都市生活者のサウンドトラック。サバービアのコンピレイションが、いつもそう機能するように編まれてきたことは、ここに書き添えておくべきだろう。
そして満を持してのクアドロン「Neverland」へ。この曲は2013年、いやここ数年のアーバン・シーンを代表する一曲と言っていい。FMフレンドリーかつ女子ウケもバッチリで、ドライヴ気分が盛り上がります。続いては昨年、最大級の話題作をリリースしたフランク・オーシャンのヴォーカルに胸揺さぶられる金字塔「Sweet Life」。このあたりの数曲がズバリ「2010s Urban-Mellow」の中心的な楽曲群と言える。前曲からのファレル・ウィリアムスつながりか、Hyleen Gilによるダフト・パンク「Get Lucky」の絶品カヴァー(ちなみに初フィジカル・リリースだとか)。このあたりの同時代性は、70年代のフリー・ソウル楽曲をサンプリングした名作を中心に収めた「Free Soul 90s」シリーズを思い起こさせる。
現在のアーバン・シーンを語る上でキーパーソンであるエリカ・バドゥをフィーチャーしたボノボ「Heaven For The Sinner」も、極上のメロウ・ビーツ・ナンバーだ。2010年代のアーバン・メロウの一つの特徴として、ビート・ミュージックのエレクトロニックな要素とソウル・ミュージックの融合というのがあると思うのだが、いかがだろうか。ライの片方であるミロシュのセンシュアルな歌声がアクセントとなり浮遊感漂うDJ Koze「Amygdala」、メランコリックなピアノと抑えたハウス・ビートが心地よいベン・ウエストビーチの「Summer’s Loss」を経て、サウンドはアコースティック・グルーヴィーへと舵を切る。オマーの名曲「There’s Nothing Like This」のアコースティック・リメイク、これまた女子に抜群の好感度を誇るルース・ヨンカーのチャーミングな「Man In The Middle」、ハスキーなヴォーカルと後半のジャジーな展開にも惹かれるフィン・シルヴァー「Sitting On Shore」、そしてジル・スコットによるビル・ウィザースのクラシック「Lovely Day」の好カヴァーに、グルーヴィーなギター・カッティングに乗るヴォーカルがハニー・コーンを想起させるレイディーの「Money」など、このセクションはいわゆるフリー・ソウル的なフィーリングが2010年代でも息づいている、いやそれが真のエヴァーグリーンであることをよく示している曲たちが並ぶ。
アイズレー・ブラザーズのファンキーな原曲が激メロウにアレンジされたルーカス・アルーダによるマジカルな「Who’s That Lady」カヴァーからは、夜が深まってくる趣き。続くインディーR&Bの真打ちであるインク「Trust」、NYジャズ・シーンの歌姫グレッチェン・パーラト「All That I Can Say」、カーティス・メイフィールドやテリー・キャリアーを彷彿させながら時にエレクトロニカ的な要素も感じさせるスラッカデリクスの「Love Jugde」と、サウンドの傾向は違えども、囁きやため息が似合うムードという意味では共通点を持っている。これも一つのアーバン・メロウ。スノウ・ホワイト・ブラックバードによるこみ上げ名曲「If Only」でコンピはエンディングを迎えるが、次作以降、どのようなテイストが提示されるのかも、今から楽しみでならない。
フリー・ソウルから20年。ずっと橋本徹のコンピレイションを聴き続けてきた人間の一人として、そこには変わりゆくもの、変わらないものがハッキリと刻まれていると感じる。僕自身が歳を重ねたように、『Free Soul〜2010s Urban-Mellow』で聴ける音楽は、かつてのジャクソン・シスターズやオデッセイのように弾けるような勢いのサウンドを持った曲たちではないが、今の僕にとても心地よく響くし、何よりもルーム・リスニングやドライヴなど、日々の生活のさまざまな局面にフィットし、嬉しい気持ちもブルーな気持ちも託すことができるようなものばかりだ。
ふと僕は、こんな映画のような一場面を思い浮かべる。90年代にフリー・ソウルを聴いていた一人のユースが、20年経って今では『2010s Urban-Mellow』を聴きながら街を歩いている。そしてある街角で、このコンピレイションをイヤフォンで聴く、かつての「彼」のような若者とすれ違う――。
物語は続いていく。フリー・ソウルは輪廻転生してアーバン・メロウになる。僕は『2010s Urban-Mellow』を聴きながら、そんなことを思った。


Free Soulアーバン・メロウ通信
2013ベスト・アルバム30枚
Selection & Text by Toru Hashimoto (SUBURBIA)

(1) haruka nakamura『MELODICA』
(2) Derrick Hodge『Live Today』
(3) Bonobo『The North Borders』
(4) Rhye『Woman』
(5) Quadron『Avalanche』
(6) The Internet『Feel Good』
(7) Terrace Martin『3ChordFold』
(8) Inc.『No World』
(9) Dexter Story『Seasons』
(10) The Decoders『Lovers & Dub Classics』
(11) Grey Reverend『A Hero’s Lie』
(12) Bill Callahan『Dream River』
(13) Laura Marling『Once I Was An Eagle』
(14) Sam Amidon『Bright Sunny South』
(15) Laura Mvula『Sing To The Moon』
(16) James Blake『Overgrown』
(17) Airhead『For Years』
(18) Lapalux『Nostalchic』
(19) Gang Colours『Invisible In Your City』
(20) Jon Hopkins『Immunity』
(21) Shigeto『No Better Time Than Now』
(22) DJ Rashad『Double Cup』
(23) DJ Koze『Amygdala』
(24) Jose James『No Beginning No End』
(25) Gregory Porter『Liquid Spirit』
(26) Kendrick Scott Oracle『Conviction』
(27) Patricia Marx『Trinta』
(28) Francois Morin『Naissance』
(29) Washed Out『Paracosm』
(30) Le’jit『New Beginning』

●とても充実した一年だったと思う。個人的な思い入れの深さから、(1)haruka nakamura(その思い入れは「Lamp feat. Nujabes」のMVに集約されている)をトップに置いたが、順不同の30枚。都市で生活するうえで、日常の様々なシーンで機能し、心に訴えかけてきたものが、自然と並んだ。ジャンルは多彩だが、どれも現在進行形のポップ・ミュージックとして、まっすぐ胸に響いてきた音楽だ。
●案の定、ディスクガイド「Suburbia Suite presents Free Soul Perspective 2013」と直結するアーバン・メロウな顔ぶれが揃った。NYジャズ〜アンビエントR&B〜モダン・フォーキー〜ポスト・ダブステップのメロウ・ヴォイセズ/メロウ・ビーツ。やはりマーヴィン・ゲイ〜スティーヴィー・ワンダー〜プリンスからシャーデー〜マッシヴ・アタック〜ディアンジェロまでの遺伝子が強く感じられる。テリー・キャリアーやミニー・リパートン、ニーナ・シモンやジョニ・ミッチェルの影も。
●(2)〜(8)は特に2013年を象徴するようで印象深い。(2)デリック・ホッジ「Dances With Ancestors」「Holding Onto You feat. Alan Hampton」、(3)ボノボ「Heaven For The Sinner feat. Erykah Badu」、(4)ライ「The Fall」、(5)クアドロン「Neverland」「Better Off feat. Kendrick Lamar」、(6)ジ・インターネット「Dontcha」などはとりわけフェイヴァリットで、“2010s Urban-Mellow”コンピ・シリーズの屋台骨と考えている。ロバート・グラスパー・エクスペリメントのメンバーでもある(2)デリック・ホッジや、『Black Radio』への西海岸からの回答としても魅力的だった(7)テラス・マーティンは、惜しくも選にもれた『Black Radio 2』(ノラ・ジョーンズが歌う「Let It Ride」や、レイラ・ハサウェイらを迎えたスティーヴィー・ワンダー・カヴァー「Jesus Children」が大好きだ)を補う意味合いもこめて。リベラル・ブラック・ミュージックにおける、スティーヴィー作マイケル・ジャクソン「I Can’t Help It」の現代性についても特筆したい。2013年は(7)テラス・マーティンがクインシー・ジョーンズをゲストにカヴァーしただけでなく、(5)クアドロン「Neverland」/ジャネル・モネイ「Dorothy Dandridge Eyes feat. Esperanza Spalding」という素晴らしいオマージュが生まれた。プリンスとプリファブ・スプラウトとフランク・オーシャンの匂いを感じた(8)インクのようなアンビエントR&Bが4ADから登場したのも2013年らしい。ビルド・アン・アークが2000年代に蒔いた種が開花したような(9)デクスター・ストーリーや(10)ザ・デコーダーズの至福のサウンドにも、現在のLAシーンの豊かさを感じずにはいられない。
●(11)〜(14)は“アップデイト・フォーキー”と言えるかもしれない。ザ・シネマティック・オーケストラや(3)ボノボにも客演している(11)グレイ・レヴァレンドは、エリオット・スミス〜ホセ・ゴンザレスの流れを汲む“ブルー・モノローグ”名作で、昨年若くして亡くなったオースティン・ペラルタのピアノにも涙。(12)ビル・キャラハンの「The Sing」は、歌詞も含め最も身につまされた曲だった。(13)ローラ・マーリングは彼女にとってのジョニ・ミッチェル『Blue』、(14)サム・アミドンは彼にとってのジェイムス・テイラー『One Man Dog』か。ニーナ・シモンからミニー・リパートンまでが引き合いに出される(15)ローラ・ムヴーラは、今後これ以上の傑作アルバムが生まれるはずだが、原石の輝きを讃えて。Billboard Liveで観た彼女のステージは、今年いちばんときめいた。ポスト・ダブステップの地平で光を放った(16)〜(21)は、真夜中の愛聴盤。(18)ラパラックスの“ノスタルジック+シック”というタイトルが示すように、いずれもメロディアスな指向が強まり、その歌心と音のリリシズムに魅せられた。デトロイトの(21)シゲトは前作『Lineage』のCD化も嬉しかったが、シカゴの(22)DJ・ラシャドにも溜飲が下がった。“2012ベスト・アルバム”にはトラックスマンを選出したが、これは言ってみれば、極めつけの「Feelin」を筆頭に、ソウルフルでジャジーな“アーバン・メロウ・ジューク”。(4)ライのミロシュが歌う夢見心地の美しいハウスから、キングス・オブ・コンヴィニエンス「Homesick」の大胆なリメイクまで、ドイツの(23)DJ・コーツェの鬼才ぶりにも、あらためて唸らされた。白昼夢のように彷徨うファンタジックな「Das Wort feat. Dirk Von Lowtzow」も桃源郷へと誘う。
●男性ジャズ・ヴォーカルの旗手、というか両雄、(24)ホセ・ジェイムスと(25)グレゴリー・ポーターは、遂に生まれた代表作にふさわしい充実感がみなぎる。躍進する新生ブルーノートの顔にも似つかわしい。(24)ホセ・ジェイムスには、スライ〜ビル・ウィザース〜アル・グリーン〜ディアンジェロというブラック・ミュージックの歴史観も宿っていた。(25)グレゴリー・ポーターは、ブライアン・ジャクソン&ザ・ニュー・ミッドナイト・バンド「Song Of The Wind」やデヴィッド・マレイ・インフィニティー・カルテット「About The Children」へのフィーチャリングも印象的だった。来日公演を前に推薦コメントを寄せた(26)ケンドリック・スコット・オラクルは、NYジャズの精粋。女性ジャズ・ヴォーカルの旗手グレッチェン・パーラトのライヴ盤『Live In NYC』でも、テイラー・アイグスティと共にケンドリック・スコットの息を呑むような貢献ぶりが確認できたが、アラン・ハンプトンの歌う「Serenity」には、グレッチェンの音楽と同質の静謐な叙情が息づいている。やはり密やかなメロウネスをたたえた(27)パトリシア・マルクスは、珠玉のブラジリアン・アーバン・ソウル。ミナス〜パラナ音楽にも通じるサウダージ漂うリオ在住のフランス人(28)フランソワ・モランは、セルジオ・サントスやアンドレ・メマーリも参加しており、“クワイエット”な南米勢を代表して。(29)ウォッシュト・アウトはこの夏(10)ザ・デコーダーズと並んでサマー・サウンドトラックとして本当によく聴いた(今さらながらデビューEP『Life Of Leisure』のジャケットを部屋に飾ったりもしていた)。(30)レジットは2013年ソウル・ミュージックの最高峰。マーヴィン・ゲイを彷彿させる「How Can I」を聴かせて、笑顔にならなかった友だちはいない。もちろん“2010s Urban-Mellow”に収録したいのだが、アプルーヴァル担当者と全く連絡が取れないらしい。(7)テラス・マーティンも同じ状況のようで残念だが、いつかそのうち、と希ってアプローチを続けてもらっている。

●30枚の選盤には入らなかったが、それらに劣らず推薦したい作品にも、簡単に触れよう。まず、限定300枚のEPだったので選外としたが、上半期に最も聴いたかもしれないアコースティック・エレクトロニカのJ.R・アレクサンダー『Moments EP』。ヒップホップでは、昨年のケンドリック・ラマーほどではないにしても、2010年のミクステ『K.I.D.S』から好きなマック・ミラー『Watching Movies With Sound Off』を、いちばん愛聴した。僕はやはりヒップホップに90年代の名残りを求めてしまうのだろう。発表されたばかりの(6)ジ・インターネットも参加した『Live From Space』は、それに輪をかけて最高で、新曲はどれもアンビエントR&Bならぬ“アンビエント・ラップ”。マック・ミラーともコラボレイトしているアール・スウェットシャツは「Chum」が好きだった。配信音源はほとんど聴いていないが、オンマス・キース「Pulse Of The City」が絶品、そしてチャンス・ザ・ラッパーには僕もどこか惹かれるところがあった。個人的No.1ジャジー・メロウ・ビーツとして、Bishop Nehru×MF Doom「Elder Blossoms」も紹介しておこう。そうそう、ブラジルのIrene Bertachiniも配信オンリーだったが、とてもよかった。
●さらに次点となった作品を駆け足で列挙するなら、ダークスター〜ジェシー・ランザ〜ビーコン〜クラウド・ボート〜Djrum〜denitia and sene.〜エリック・ラウ〜パリス・トゥーン〜レイディー〜サブリナ・スターク〜ザラ・マクファーレン〜ジェシカ・プラット〜Hem〜アイアン・アンド・ワイン〜マーク・マクガイア〜ジョン・ベルトラン〜イアン・オブライアン〜ディーン・ブラント〜ブラッド・オレンジ〜アトムス・フォー・ピース〜プライマル・スクリーム……といった感じか。ジャズ/ワールド系なら、RGE〜グレゴリー・プリヴァ〜シャイ・マエストロ〜ティグラン・ハマシャン〜ペオ・アルフォンシ〜ヴィクトール・エレーロ〜ロンペカベサス〜トリオ・ファミリア〜ジョアナ・ケイロス〜ビアンカ・ジスモンチ〜クリストフ・シルヴァ〜セルジオ・サントス〜ヴァネッサ・モレノ&フィ・マロスティカ〜チアゴ・ヴァルゼあたり。曲単位で気に入っているものも多く、ここに挙げた名も含め、最後に掲げる“2013ベスト・ソング”に記しておくので、ぜひ聴いてもらえたらと思う。2012年のリリースで今年になって日本盤が出た作品では、ルイス・コール『Album 2』が頭ひとつ抜けていたが、アビアやバラケ・シソコ、ジョー・マンゴーやアレシャンドリ・アンドレスも好盤だ。
●コンピでは、ボノボが編んだ『Late Night Tales』に感銘を受けた。というか、他人とは思えないほど趣味が近いと感じた。自らカヴァーしたドノヴァン「Get Thy Bearings」からダロンド「Didn’t I」〜ニーナ・シモン「Baltimore」とつなぎ、僕の好きなシュローモ「Places」/インヴィジブル×フローティング・ポインツ「Wings」/マシュー・ボーン「Juliette」も織りこまれ、(18)ラパラックスや(17)エアヘッドなども経て、ラストはビル・エヴァンス「Peace Piece」という構成。最近のジャイルス・ピーターソンの選曲にも親近感を抱く。僕のコンピ『Urban-Resort FM 78.4』ではエンディングに置いたフィリップ・オウス「Goodnight」が、『Brownswood Bubblers Ten』ではオープニングを飾ったのも、嬉しい驚きだった。リイシュー企画では、やはりダニー・ハサウェイの4CDボックス。未発表だった名曲「Memory Of Our Love」との出会いには、初めて「Love, Love, Love」を聴いた頃のことを思いだし、愛してやまない1971年NYビター・エンドでのライヴ録音の蔵出しには感涙。モリー・ドレイクの復刻、ニック・ドレイクのトリビュート盤、ガレス・ディクソンによる“ニックド・ドレイク”という一連のリリースも、2013年の“ブルー・モノローグ”として忘れることはできない。
●最後に、今年も多くの音楽家が亡くなった。ルー・リード、ドナルド・バード、ジョージ・デューク、J.J.ケイル、ケヴィン・エアーズ、それにアルマンド・トロヴァヨーリやファタイ・ローリング・ダラー……ご冥福をお祈りします。

2013ベスト・ソング100曲(ベスト・アルバム30枚以外の作品から) ※アナログ12インチは除く
Selection by Toru Hashimoto (SUBURBIA)

Fashion Killa / A$AP Rocky
Be My Baby / Aaron Neville
Make Someone Happy / Angela Galuppo
Traces Of You / Anoushka Shankar Feat. Norah Jones
Ingenue / Atoms For Peace
Split In Two / Beacon
Festa No Carmo / Bianca Gismonti
Tomorrow's Going To Be A Better Day / Billy Bragg
Chamakay / Blood Orange
Nothing Is Real / Boards Of Canada
Watch You Sleeping / Booker T & Friends Feat. Kori Withers
Opponent / Brian Jackson & The New Midnight Band Feat. Dead Prez, Martin Luther
God Only Knows / Charles Lloyd & Jason Moran
Steppin' Out / Chris Schlarb
Drean / Cloud Boat
Humming Fields / Colleen
Asherah Le Chameleon / Coultrain
A Day's Pay For A Day's Work / Darkstar
About The Children / David Murray Infinity Quartet Feat. Gregory Porter
Breathe.Dream.Scream. / Denitia And Sene.
Daniel / Devendra Banhart
Como Los Cerdos / Djrum
Ondas Sonoras / Ed Motta
Most Beautiful / Elements Of Life
Aquelas Coisas Todas / Emy Tseng
Here / Eric Lau Feat. Rahel
Odara / Fernanda Guedes
Lo Que Mas Me Gusta / Francesca Ancarola
When An Angel Sheds A Feather / Gerald Clayton Feat. Gretchen Parlato & Sachal Vasandani
Ritournelle / Gregory Privat
Four Chords / Gregory Privat Feat. Gustav Karlstrom
Love Dance / Heidi Vogel Feat. Austin Peralta
In The End / Heron
Nakamarra (Remix) / Hiatus Kaiyote Feat. Q-Tip
Get Lucky / Hyleen Gil
My Dreams Of Peace / Ian O'Brien
Chaim Pshutim (Simple Life) / The Idan Raichel Project
The Desert Babbler / Iron And Wine
Walking Over Me / J.R Alexander
Dorothy Dandridge Eyes / Janelle Monae Feat. Esperanza Spalding
Livin' It Up / Jesse Gannon
Night Faces / Jessica Pratt
As If / Jessy Lanza
Het Leven Is Mooi / John Beltran
Fire In My Hands / Jono McCleery
Start Up A Family / Josh Rouse
Stop This Train / Joshua Redman
Electric Dub / Juan Atkins & Moritz Von Oswald
After All Is Said And Done / Junip
Take My Tears / Kasia Lins
Baby Blue / King Krule
Durantes / Kristoff Silva
Long Days, Short Nights / Kwesi K
Money / Lady
Crosswinds / Lex (De Kalhex)
There Goes My Light Feeling / Little Wings
The Creator Has A Master Plan / Lord Echo
Who's That Lady / Lucas Arruda
Woyzeck / Lucas Nikotian - Sebastian Macchi
North Marine Drive / Manuel Bienvenu
Rio(Puro Suco) / Marcelo D2
Teal / Masaki Hayashi
Nightingales / Milder PS
Slow Down / Milosh
Made To Stray / Mount Kimbie
Notes On A History / Nia Andrews
From The Morning / Nicked Drake (Gareth Dickson)
There's Nothing Like This / Omar Feat. Pino Palladino
Until Now / Paris Toon Feat. Tanya Ti-et & Morris Alan
One Way Ticket / Peven Everett
Goodnight / Philip Owusu
Always Be / PJ Morton
The List Of Impossible Things / Prefab Sprout
It's Alright, It's OK / Primal Scream
Breakfast Can Wait / Prince
Jesus Children / Robert Glasper Experiment Feat. Lalah Hathaway & Malcolm-Jamal Warner
Let It Ride / Robert Glasper Experiment Feat. Norah Jones
Ooo La La / Robin Thicke
Sarama / Rokia Traore
Mirando La Ciudad Vacia / Rompecabezas
Just The Two Of Us / Sabrina Starke
Harvest Moon / Scott Matthew
Malka Moma / Shai Maestro Trio
Brother Where Are You / Shelby Lynne
If Only / Snow White Blackbird
Golden Summer Rays / The Soul Immigrants
Sweet & Saccharine / The Spandettes
The Lottery / The Stepkids
By The Time That I Awoke / Sun Kil Moon & The Album Leaf
When I Fly Away / Swindle Feat. Joel Culpepper,Baby Sol,Preditah & PSM
River Man / Teddy Thompson
Por Nos / Thiago Varze
Without You / Thundercat
Gibraltar / Till Bronner
Valentine / Tricky
Summer Rain / Triosence
In The Dawn (For Rei Harakami) / Turn On The Sunlight
Eye Contact / Ultramarine
Workin' Woman Blues / Valerie June
When All Is Calm / Webster Wraight Ensemble
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