『Free Soul Grand Gallery 〜 Chill-Out Mellow Lovers』がリリースされて、ひと月がすぎました。皆さんはどう聴いてくださったでしょうか。敢えて日本語の3曲を収めたことで、空間BGMとしての可能性は狭められたと思いますが(実際に僕が選盤を担当しているUNITED ARROWSのグリーンレーベルリラクシングでも、そうした配慮があり、50枚分のCDと、そこから派生して聴いていただける多くの潜在リスナーを失うことにもなりました)、それによって、より心の深いところへ音楽が届いてくれたら、というのが僕の希いでした。率直な感想をお聞かせいただけたら嬉しいです。
また先日、Amazonのソウル/R&B部門で、このコンピレイションがMP3アルバム・セールス1位を記録したと教えられました。ありがとうございます。とはいえ、僕が(特にチルアウト・メロウという観点において)このコンピで最重要と考えているAudio Arts Recordingsだけは、MP3アルバムに収録されていませんので、できればアートワークも美しいCDを聴いてほしい、というのが強い本音だったりもします。
この[staff blog]の更新は滞っていますが、個人的に文章はよく書いています。45歳をすぎて作家を志したレイモンド・チャンドラーと44歳で亡くなったスコット・フィッツジェラルドのことを考えながら。自発的にペンを執るということは、僕の人生ではひどく稀なことなので、どんな内容なのか、どんな形で発表するか(あるいは、しないのか)は、ゆっくりとまた改めて、と思っています。
音楽も相変わらず(普通の生活をしている方にはおそらく想像できないほど)よく聴いています。新しい音楽との出会い、また、改めて心を動かされた音楽体験については、できるだけ
twitter(http://twitter.com/Toruhashimoto)に記録していますので、それを基に近々このページにもまとめるつもりです(と言いながら、長らく先のばしにしてしまっているのですが)。夏から秋にかけて、今年もかけがえのない音楽の瞬間はたびたび訪れてくれました。本当に伝えたい、遺しておきたいことがたくさんあるので、筆不精の自分が歯がゆくなります。
というわけで今日は、どうしても皆さんをご案内したいイヴェントの告知だけ手短かに。それは8/27に行われ大好評だったパーティーのアンコール企画、その名も「Rainbow Town Encore!」。いよいよ今週末、11/12に渋谷・サラヴァ東京にて開催です。今回も、次松大助とヨハン・クリスター・シュッツがたっぷり1時間ずつライヴを披露。次松くんは胸が熱くなるグランド・ピアノ弾き語り、ヨハンはグルーヴィーなPeacebirdバンド編成で、前回は「Over The Rainbow」もカヴァーしてくれ感激した、ふたりの共演セッションも、もちろんあります。
それに加えて、若きビートルマニアとしても知られる女性SSW、弓木英梨乃が登場。カヴァー曲として、ビートルズ・ナンバーだけでなく、リンダ・ルイスの『Lark』からや、彼女のプロデューサーでもある堀込高樹のキリンジの曲も聴かせてくれるそうなので、とても楽しみ。さらに特筆すべきは、北海道から遠路はるばる16歳の女性SSW、和知里が来てくれること。僕が昨年の北海道DJツアーで出会い、一聴惚れしてしまい、どうしても東京の友人たちに聴いてもらいたくて、お招びした次第です。人呼んで(というか、僕がそう言ってしまったのですが)「北海道のコリーヌ・ベイリー・レイ」。彼女の「Like A Star」カヴァーを初めて聴いたときは、涙が滲んでしまいました。キャロル・キングやミニー・リパートン、シャーデーやプリシラ・アーンのカヴァーも、彼女のためにその曲が生まれてきたのでは、と思えてしまうほど、親密に響きます。しっとりとメロウな彼女のピュアな世界を、ぜひ多くの方に感じていただけたらと思います。
僕自身もこの日DJで何をかけようか、レコードを聴きながら今から心待ちにしているわけですが、その他のDJ陣も、僕の音楽仲間が勢揃いなので、楽しみにしてください。監修・選曲したコンピ『bar buenos aires 〜 カルロス・アギーレに捧ぐ』も素晴らしい吉本宏に、Bar Music店主にしてムジカノッサ主宰の中村智昭、僕が知るかぎり女性No.1セレクターだと思う富永珠梨、そして「Lots Of Lovin'」のユズルといったメンバー。ちなみにライヴの出演時刻は、弓木英梨乃19時30分、和知里20時30分、次松大助21時30分、ヨハン・クリスター・シュッツ22時45分を予定していて、締めくくりにはもちろん、我らが盟友ヒロチカーノが、ピエール・バルー「Samba Saravah」を弾き語ってくれるはず(そういえば来春、僕は10年ぶりにサラヴァ・レーベルのコンピを手がけますよ)。朝4時まで素敵な音楽ばかりをとことん満喫できる夜になることを、お約束します!
追記:今後のコンピレイションのリリース予定についても簡単に。アプレミディ・レコーズ担当ディレクターのスケジュール過多により、この秋の企画はどれも延期になっておりますが、すでに3タイトルの選曲を終えています。12月から1月にかけて順次リリースが実現するはずですので、今しばらくの間、楽しみにお待ちください!
11/17追記:カフェ・アプレミディで11/27に行われるサンデイ・アフタヌーンDJパーティー「harmony」の2周年記念イヴェントの情報も掲載しておきますので、ぜひご来場ください!
「harmony」
11/27(日)18時から24時までカフェ・アプレミディにて入場無料!
2009年秋にカフェ・アプレミディで始まった「harmony」ですが、おかげさまで、二周年を迎えることとなりました。スタート時には、スモール・サークルでのDJパーティーにすぎなかったものが、2年の時間の経過とともに、ダブ・ステップやニュー・ディスコ、そして今まさにまだ名前が付けられる前段階にあるシカゴ・ハウスやデトロイト・ハウス再評価の動きとリンクするようになりました。フリー・ソウルのビートをアップデイトした先に、とても豊かな音楽的な実りがありました。CalmとDJ YOGURTに続く、今回のゲストDJは、その流れに最も相応しいDJのひとりである、Kza! 彼のサンプリング/ヴァイナル文化への強い愛情を胸に秘めたDJは圧巻です。「harmony」第14回、二周年の夜を一緒に祝いましょう!(Takahiro Haraguchi)
harmony classics
Sade / By Your Side(Jay Denes Naked Soul Remix)
名リミックスの多いシャーデー永遠不朽のラヴ・ソング。夏にはファレルらしいビート・アレンジのカリビアン風味のネプチューンズ・リミックスや、クール・サマー・ハウスなベン・ワット・リミックスも心地よいが、秋から冬にかけて日曜夜のメロウ・ダンシングには絶対これ。空前絶後、ディープ&ジャジーなムーディーマン・スタイルが絶品の美しさ。パーフェクト!(橋本徹)
Nebraska / Displacement
オランダRush Hourレーベルから4枚の12インチをリリースしていたNebraskaが久々のアルバムをリリースしたので、今回はこちらをピックアップ。ソウルフルなビートダウン・ハウスを全曲にわたって展開しており、アルバム通して聴きこめる素晴らしい内容です。デトロイト〜シカゴ・ディープ・ハウス・ファンの皆様ぜひ!(haraguchic)
Bambu / Elevate Your Mind
Sergio Mendesの人気曲「The Real Thing」のハウス・カヴァーが有名なBambu。こちらはLinda Williams1979年のレアなアルバム『City Living』収録のブラジリアン風味なアーバン・ソウルを、比較的オーソドックスにカヴァーした、爽やかなラテン・ハウス。(NARU)
Jean-Luc Ponty / Computer Incantations For World Peace
90'sハウスの名曲、Those Guys「Love Love Love」の元ネタ。一度聴いたら忘れられない“あのメロディー”。後半から入ってくるヴァイオリンの音色がまた泣けるんです。素晴らしいの一言!(YUJI)
Marvin Gaye / Where Are We Going?
高くなった秋の空を眺めながら聴くのは、Sky High・Production。2001年発売『The Very Best Of Marvin Gaye』で初出のこの曲、すぐにそれとわかるピアノのやわらかな響きに心震える。諦観の先の希望の音。僕らはどこへ行くのか。僕らは地球にネクタイを取り替えにやってきた。Fonce Mizellは、この7月に逝去。R.I.P. (Takahiro Haraguchi)
Armenta / Wanna Be With You (Craig Bratley Edit)
今年リリースされた、日本でも人気のある80's ダンス・クラシックのリエディット物です。もちろんオリジナルもいいですが、こちらは頭がいい感じに編集されていて繋ぎやすくなっており、とてもDJユースな仕上がりになっています。(Kza)