アプレミディ・レコーズ第1弾『音楽のある風景〜春から夏へ〜』はもう聴いていただけましたか? 今回はいろんな方から嬉しい反響をいただき、とても励みになっています。どうもありがとう。
僕自身にとっても、さっそく先日の九州DJツアーの最終日に福岡から呼子へのドライヴ中に聴いたりして、大切な思い出と共に忘れられないCDになりそうです。我が家のリヴィングでも、何となく気持ちを晴れやかに(清らかに)したいときなんかに、よく流しています。担当ディレクターのインパートメント稲葉さんが、ご自身の結婚式の入場曲に、オープニングのジャジナリア・カルテット「Pippo Non Lo Sa」を選んでくれたのも、僕には嬉しすぎるエピソードでした。HMVのウェブサイトには、僕が
アプレミディ・レコーズに込めた思いを語ったインタヴューや、このコンピの
全曲解説が掲載されていますので、よかったら読んでみてください。今週からは、次作『夏から秋へ』編の選曲にとりかかりましたので、そちらもぜひお楽しみに!
また、アプレミディ・セレソン武田とアプレミディ・グラン・クリュ井上による、
マガジンハウスのウェブサイトでの連載コラム最新回のテーマが“春のメロディーを感じる風景”で、最近の気分にとても穏やかにフィットする文章でした。“どこか心安らぐ懐かしい記憶と共に、始まりの季節をむかえる清々しい心”(武田)や、“懐かしさと切なさの両方を前向きに捉える強さ”(井上)は、今の自分に必要なものだと感じています。僕は久しぶりにキャロル・キングの『Music』をレコード棚から取り出して、よく晴れた午後の時間に繰り返し聴きました。
今週は、5/20リリースの『Jazz Supreme ~ Maiden Blue Voyage』のマスタリングとアートワークの入稿も終えました。スタジオで一瞬、「ジャズ・シュプリーム」シリーズはこれで完結しても構わない、と思ったほどの満足度です。オープニングを飾るのは、「音楽のある風景」シリーズのためにとっておこうかと最後まで悩んだ、ナンド・ローリアによるビートルズ「If I Fell」の絶品カヴァー。この曲もまた、不惑をすぎた僕のテーマ・ソングなのです。続いて登場するのは、月曜日にCOTTON CLUBでライヴを観てきたばかりの、ディスクガイド「Jazz Supreme」でNujabesも“ポスト・ヒップホップのアーマッド・ジャマル”と推薦していたロバート・グラスパー。僕にはスラム・ヴィレッジへのオマージュが泣ける「J Dillalude」です。そしてモードから新主流派へという魅力的なストリームの中で永遠に尊い光を放つ、ブルーノートを始めとする名門レーベルに残された、凛とした知性と“ブルー・スピリッツ”を宿したモーダルなワルツ・ジャズを中心とした珠玉の名作が連なります。詳しくはまた改めて書きますが、このページの最後に、収録曲目をひと足先にリストアップしておきましょう。
木曜の夜には、日本のトラック・メイカーによるメロウ・ビーツ・コンピ『Mellow Beats, Friends & Lovers』の打ち合わせの後、久々に恵比寿3丁目のTenementに飲みに行きました。“音”と“あかり”の具合が本当に絶妙な、素晴らしい空間。店主INO hidefumiの楽曲は、もちろん『Mellow Beats, Friends & Lovers』に必要不可欠ですが、6/10発売予定のこのアルバムについても、今後たっぷりと(何度となく)話をする機会があるでしょうから、今のところはとりあえず、心より楽しみにお待ちいただければと思います。Nujabes feat. ジョヴァンカ&ベニー・シングスによるシャーデー「Kiss Of Life」の新録カヴァーにも、胸が高鳴りますね。
以前に紹介した映画「ヴィニシウス〜愛とボサノヴァの日々〜」も、今週末いよいよ公開されましたね。明日はコンサート・ツアーのためブラジルはミナスから初来日したヘナート・モタ&パトリシア・ロバートのウェルカム・パーティーも、アプレミディ・グラン・クリュで開かれます。彼らの作品もぜひ、「音楽のある風景」シリーズに収めることができればと願っています。
「usen for Cafe Apres-midi」のプロデューサー&ディレクターも東京に転勤してきました。これからもよろしくお願いします。何だか新しい季節が始まるようですね。さらなる素晴らしい音楽との出会いがありますように。
4/24の深夜には、フリー・ソウルを始めて15周年を祝うクラブ・パーティー「ムジカノッサ・フリー・ソウル2009」も、青山・FAIで行われます。山下洋も、二見裕志も、松田岳二も、小林径も、オリジナルDJが大集合しますので、古くからのファンの方にも集まっていただけたら、それほど嬉しいことはありません。お待ちしています!
『Jazz Supreme ~ Maiden Blue Voyage』
01. If I Fell / Nando Lauria
02. J Dillalude / Robert Grasper
03. Ricardo's Dilemma / Roy Ayers
04. Footprints / Wayne Shorter
05. Speak Like A Child / Herbie Hancock
06. Blue Spirits / Freddie Hubbard
07. Fleurette Africaine / Duke Ellington
08. The Moana Surf / Duke Pearson
09. Little B's Poem / Bobby Hutcherson
10. Won't You Open Up Your Senses / Horace Silver
11. My Favorite Things / Grant Green
12. Wives And Lovers / Roy Haynes
13. Damascus / Les McCann
14. Equipoise / Max Roach
追記:江原順の「モンパルナス動物誌」に敬意を表して。──実はあんな本を作りたくなっている今日この頃です。