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10月24日──橋本徹のディスクガイド&コンピ情報

単行本「Jazz Supreme」はもう読んでいただけましたでしょうか。とにかく時間のない中ではありましたが、最良のものを作ろうと最善を尽くしましたので、ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
昨日、11/21発売のコンピ『Mellow Voices ~ Wonder Love Collection』のマスタリングのためにお会いしたPヴァインの塚本謙ディレクターが、今月出たCD『Jazz Supreme ~ Spiritual Waltz-A-Nova』の海外での評判がものすごく良いと教えてくれ、かなり気持ちが上がっています。キンドレッド・スピリッツを傘下に持つラッシュ・アワーからヨーロッパでのリリース・オファーが来たというのも嬉しい話でしたが、信頼度抜群で世界有数の名セレクトショップと名高いシカゴの「Dusty Groove」のレヴューには、とりわけ感激させられました。
思えば7年前のこと、当時トータスのジョン・マッケンタイアの家に居候していたGreat 3の片寄明人くんが、「Dusty Groove」というレコード屋が彼らの溜まり場になっていて、そこで橋本くんの選曲CDがたくさんプッシュされてるよ、と教えてくれたのがこの店を知るきっかけでした。その後も僕のコンピを推薦してくれている、と風の噂では聞いていましたが、実際に塚本ディレクターがくれたプリントアウトに目を通してみると、感謝の念もひとしおで、「もちろん我らの世代のベスト・コンパイラーのひとり」というフレーズのところでは、嬉し恥ずかしで大人げなくも頬がゆるんでしまいました。パリのコレットで「Suburbia Suite」が壮観に飾られていたときも同じことを感じましたが、最近は、時代のせいか、僕のせいか、こういうことを励みにしないとすさんだ気分になることが多いので、本当にありがたいですし、勇気づけられます。日本の音楽ファンも、試聴機でNujabesのサンプリングも素晴らしかった1曲目、ジョン・ヒックス「After The Morning」の美しさを耳にすれば、必ず聴きたいと思ってくれるはず、と信じていますが、遠くシカゴやアムステルダムやロンドンに同好の士がいて、彼らに確かに伝わっている、と実感できるのは、やはり嬉しいことですね。
そして塚本ディレクターの発案により、『Mellow Beats』シリーズのスピンオフ企画として登場する『Mellow Voices ~ Wonder Love Collection』も、負けず劣らずの最高の仕上がりとなりました。スティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイのメロウネスを継ぐ、温かく胸を打つスピリチュアル・ソウル・ミュージックが全17曲。マイロン&ザ・ワークス「Beautiful Love」に始まりアロー・ブラック「I'm Beautiful」に終わるビューティフルな一枚で、聴き終えたときには、スティーヴィーの『Innervisions』やフリー・ソウル・コンピを聴いた後のように、しみじみとしながらもポジティヴな気持ちになれるでしょう。正直な話、僕は一昨日までジャズばかり聴いていたのですが、今日はこのアドヴァンスCDを朝からずっと繰り返し聴いています。フランク・マッコムによるスティーヴィー「Golden Lady」のカヴァーを始め、79分57秒にわたって十二分すぎるぐらい魅力的な内容となったので、アプルーヴァル申請していたディアンジェロの「Africa」と4ヒーローの「Superwoman」を、時間や費用もかかりそうなのでまた次の機会にでも、とあっさりパスしてしまえたほどの充実度なのです。リリースまで約1か月の間、ぜひ楽しみにお待ちください。この盤についてはまた、改めて詳しく書きますが。
さて、今夜は久々に行われるDJパーティー「ムジカノッサ」です。ゲストで来てくれるDJ Mitsu the Beatsのプレイにも期待が高まります。良い音楽をとことん分かち合える場になることを祈りながら、青山・Faiに向かおうと思っています。来週からはアプレミディ・ライブラリー第5弾、「ムジカノッサ」CDも好評なカフェ・アプレミディ店長・中村智昭の監修によるディスクガイド「ムジカノッサ・ジャズ・ラウンジ」の編集に取りかかる予定です。
追記:昨晩は久しぶりに美味しいものを食べようと、親しいサマーガールに誘われて、西新橋の「緒方」で鮨をいただいたのですが、そのとき彼女が興奮気味に、絶対好きなはずだから読んで、と携帯電話で見せてくれたオリジナル・ラヴ田島貴男のブログにしびれました。ざっと1か月分読ませてもらったのですが、彼女が毎日チェックする気持ちもわかるぐらい、読んでいて胸がすーっとするのです。特に最新の日記にあった、「誰かを批評するときには同時に自分に対する批評でなければならないのだと僕は思う」という一節には、我が意を得たり、と思わず膝を叩いてしまいました。僕は彼からいつも、“いさぎよさ”というようなものを学んでいる気がします。
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10月9日──橋本徹のディスクガイド&コンピ情報

『Jazz Supreme 〜 Spiritual Waltz-A-Nova』は聴いていただけたでしょうか。今回のCDには、僕なりの信念のようなのものを込めたつもりです。
こんなことを書くと、「ジャズは数字がつかないんですよ」といつもお嘆きのレコード会社の方には恐縮ですが、不思議と売れてほしいという気持ちはそれほど強くありません。“メロウ・ビーツ”が売れてくれた今だからこそ実現できた(逆に言えば、このタイミングでしか実現できなかったかもしれない)企画だということは、重々自覚しています。ただ、聴かれるべき人に届いてほしいという気持ちはいつも以上、いや今まででいちばんなのです。今夜は改めてCDを聴きながら、作り終えた後の清々しさみたいなものを強く感じています。
ちなみに、僕が21世紀に入って最も共感・共振できるレーベルが総力を結集した、キンドレッド・スピリッツ・アンサンブルによるジョン・コルトレーン「Naima」のカヴァーは、このCDが世界初お目見えとなるエクスクルーシヴ音源です(サンクス!)。あとは僕が本当に人生規模で心から愛す、マイ・クラシックと言うのもおこがましいほどの崇高な名曲ばかり。当初の選曲では、ディセンダンツ・オブ・マイク・アンド・フィービ「Coltrane」とダグ・ハモンド「Moves」の間に、ビルド・アン・アークによるスタンリー・カウエル「Equipoise」のカヴァーが入っていましたが、他社ライセンス音源も含めアプルーヴァルが順調で、次作『Jazz Supreme 〜 Fender Rhodes Prayer』のために温存することにしました。
単行本「Jazz Supreme」のために会ったジャイルス・ピーターソンや、ジャザノヴァのステファンとアレックスもとても気に入ってくれ、「まるごとPCに取り込んでよく聴いてるけど、ヴェリー・グッドだよ」とジャイルスが言ってくれたのは、何気に最近嬉しかったエピソードです。
さて、そのCDの副読本、と言うには膨大な情報量と熱い思いが込められた、ジャケ写総数447枚、116ページに及ぶディスクガイド「Jazz Supreme」は、今週火曜、ようやく入稿を終え、超特急進行で10/17入荷です。ご協力くださったゲスト・ライターの方々(オファーして実現しなかったのはひとりだけ!)、デザイナーの大久達朗(jazzgitarren)には感謝のひとこと。CDと共に、ぜひこちらもどうぞ。時間がない中で、とても良いものができたと思っています。
それでは、この週末の連休は、北海道にDJツアーに行ってきます。音楽好きの人たちに会えて、美味しいものをたくさん食べられるのが楽しみです。
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