新しい年が始まりましたね。昨夜は僕も新年会で、吉本宏・中島ノブユキ・瀬葉淳 (Nujabes) と初痛飲。やっと今アルコールが抜けてきたところですが、今年も音楽的にはおもしろい年になりそうな予感を抱くことができました。
正月休みは駒沢の実家に帰って、ラグビー/サッカー/駅伝など。駅伝のTV中継を観ていて、何だかUSENのアプレミディ・チャンネルみたいだな、と思いました。好調な人もそうでない人も、年齢や経験も違う、実力も潜在能力も様々な人が、同じ思いを託してベストを尽くし、ひとつのタスキをつないでいく。それぞれが少しでも手を抜いたら、そのまま結果に出てしまう。襟を正される思いで「音楽のある風景」を読み返したら、この本自体が駅伝のようでした。
1/3の夕方、やはりTVで映画「世界の中心で、愛をさけぶ」を観てから渋谷に戻りましたが、初めて長澤まさみの魅力を知りましたね。不惑・未婚の僕でさえ(だからこそ)胸を焦がされる眩しいようなカットに。Nujabesいわく、あの映画が長澤まさみのピーク、ということでしたが(ちなみに彼が今かなり入れ込んでるのは夏帆という女優で、彼女とならメディアに出てもいい、とカワイイこと言ってました)。
そんな感じでその晩は、余韻に浸ってもう少しセンチな気分で読書タイム、と思ったのですが、この一冊というのが決まらず、送本されてきていた雑誌をぱらぱら。東京で生まれ育った人間にとって、媒体のTOKYO特集やトーキョー特集ほど違和感の残るものはないと思うけれど、いつも苛立ってばかりいてはオールドファッションドな男の戯言としか取られないから、今年は自重しようと思い直す。“大事なものと大事じゃないものが少しずつ見えてくるような/そんな気がするよ今”と歌うNONA REEVES郷太くんの家のすぐ横を歩いてきたばかりだったから。そしてリニューアルされた「BOON」のメロウ・ビーツについての僕のインタヴューが、プレッピー特集の中にあったことに気づいて驚くと同時に好感を持つ。メロウ・ビーツもクラシカルとモダン、ベイシックとアヴァンギャルド、トラディショナルとレジスタンスの融合と解釈してくれたのか。マイ・フェイヴァリット・スニーカーもこの2年半はトレトンだしね、と軽口を叩きたくなった。
そして翌日、冬休みに読もうと思っていた直枝政広さんが上梓した音楽エッセイ集「宇宙の柳、たましいの下着」を手にする。フレッド・ニール『ブリーカー&マクドゥガル』な表紙が何かを語りかける。駒沢ではディランやXTCやニール・ヤングを聴いてウォーミング・アップを済ませてきた。僕は大学に入ったばかりの頃、カーネーションの『ヤング・ワイズ・メン』を一生の名盤のように取りつかれたように聴いていて、東京でのライヴにはほとんどすべて通っていた(そんなバンドは他にオリジナル・ラヴぐらいしかなかった)。何となくポリスの「Walking On The Moon」(これをメロウ・ビーツに挙げたINO hidefumiは慧眼だと思う)をスピーカーの真ん中に座って静聴してから読み始める。そして一日で読み切ってしまった。音楽が好きなら誰でも書けるはずなのに、誰にも書けていないような一冊。やっぱりこの人もB型だな(大学生のときの僕の憧れ、小西・田島・直枝はみんなそう)。音楽に生きる、音楽と生きるとはこういうことだ。話が深くなりそうなので、この本についての感想は、またいつかどこかで書こう。
さて、それでは年始のパーティー情報を。旧年中はせわしなく、結局は年をまたいでしまったカフェ・アプレミディ8周年アニヴァーサリー。いよいよ新年会を兼ねて、1/11に開催します。ライヴやDJの出演メンバーなど、詳しい情報は[information]のページをチェックしてもらえたらと思いますが、いずれもアプレミディゆかりの僕が信頼する人たちばかり。皆さんもぜひご一緒にお祝いに駆けつけてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
そして翌週の1/18には、下北沢・CLUB Que(03-3412-9979)でジャム結成30周年を祝うトリビュート・イヴェント、その名も「ALL MOD CONS」が開かれて、ライヴを行うジャム・カヴァー・バンドのSETTING FUNSやN.G.THREEなどと共に、僕や山下洋もDJで出演します。僕はむしろスタイル・カウンシル25周年という感じでプレイしようかな、なんて思っていますが、どうなることやら。ジャム・ファン、ポール・ウェラー・ファン、モッドならずとも良い音楽を浴びに来てください。
追記:正月の間ずっと、12/28の『ジョビニアーナ〜愛と微笑みと花』リリース記念パーティーで南佳孝さんが披露してくれた、鈴木茂さんでお馴染みの「ソバカスのある少女」のメロディーが耳から離れませんでした。それから、やはりあのとき曽我部くんが1曲目で歌ってくれた、曽我部恵一ランデヴーバンド「女たち」(ジェシ・コリン・ヤングを彷佛とさせます)の“ぼくの好きな女たち”というリフレイン。マドラウンジでは曽我部くんと、この曲の俺ヴァージョンの歌詞を作ろうという話でも盛り上がりました。
しかし何と言っても、引き続きいちばんよく口ずさんでいたのは、「ゆうひが丘の総理大臣」の挿入歌「海を抱きしめて」。僕はなぜだか、去年訪れたイパネマ海岸のアルポアドールの岬を思い出してしまうのです。このTVドラマのDVDボックスを購入した高橋孝治から今日、直筆の歌詞がファックスで送られてきて涙・涙(新春早々オレも弱いね)。ここに掲載しますので、1/11のカフェ・アプレミディの8周年パーティーでは、山下洋の演奏で(彼も全話録画、ロケ地探訪までするほどのゆうひが丘ファナティック)、ぜひみんなで歌いましょう。
「海を抱きしめて」
作詞 山川啓介
作曲 筒美京平
歌 ソーリ
生まれて来なければよかったなんて
心がつぶやく日は
人ごみに背を向け会いに行くのさ
なつかしい海に
幼な児よりもひたむきに
遠い名前を叫んで
汗ばむ心 潮風が洗うにまかせれば
いつのまにか生きることがまた好きになるぼくだよ